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PERFECT DAYS 映画感想文
いつも近くにいてほしい映画。
何か特別なことが起きるわけではない。
東京の公衆トイレ清掃の仕事をしている男(役所広司)の日々の話。
映画館を出た後夕陽を浴びながらハイボールを一杯呑みたくなった。というか呑んだ。
それと映画を観た後サブスクでルー・リードの”Perfect Day”、ローリング・ストーンズの”めざめぬ街”、金延幸子の“青い魚”、ニーナ・シモンの“Felling Good”などを聴いた。
あまり劇的なことは起きていないけれどあらすじを説明するのが難しい。
植物と木漏れ日を愛する男の愛おしさ。
淡々と日常を送るその美しさ。
ひょっとしたらそれだけで人間は劇的な生活を送っていると言えるのかもしれない。
皆演技はすばらしいが、個人的には主人公の行きつけのスナックのママと7年前に別れ今は癌になってしまったという男(三浦友和)が印象的だった。
役所広司と三浦友和が影踏をして遊ぶというシーンの哀愁の感覚のよさ。
トイレの清掃員という設定といい、劇中何度も出てくるカセットテープの使い方といい、影踏といい、ヴィム・ヴェンダース監督の、何気ない日常から発見してくる詩的な感覚がとても良かった。
何気ない日常をうまく撮って編集し飽きさせないようにする監督の手腕にも驚かされた。
観終わってしばらくするうちに思いはじめてきたのは、映画にとって劇的とはなんだろうということである。
別に刺激的なことが起きなくても、日常のほんのちょっとした変化が劇的なものになりうるのだということをいま感じている。
今年観たベスト映画の一つである。
2023.12.29
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