こんな学校があったらいいな
とある学校で、数学の授業が行われている。
しかし、生徒の机には教科書もノートも、筆記用具もない。代わりにあるのは、iPadとApple Pencilだ。
生徒はみなAirPodsを付けて、動画を見ている。その動画では、講師が今日習う範囲の解説をしている。元予備校のトップ講師だったらしく、話がおもしろくてわかりやすい。日本全国みんなこの動画で学んでいる。
動画が終わると、問題練習に移る。解答を書いて提出ボタンを押すと、すぐに自動採点され結果が出る。
生徒はわからないところは何回も動画を見ることができるし、それでもわからなければ先生に聞けばいい。先生は、授業をしない代わりに、問題が解けない生徒のフォローにあたる。
別のクラスでは、英語の授業をしている。先生は外国人で日本語が喋れないため、英語で話すしかない。座学ではなく、日常生活で英語でコミュニケーションができることを目標にしている。もちろん、生徒同士も日本語を使ってはいけない。
また別のクラスでは、「社会」という授業がある。この授業では、税金や社会保障について学ぶ。社会に出てから、税金はどのように納めればいいのか、困った時に頼れる公的制度はどのようなものがあるのかから、クレジットカードでリボ払いをしてはいけないといったことまで、こちらもiPadで学んでいく。
また別のクラスでやっているのは、キャリア教育だ。この授業では、教師以外の職業で第一線で活躍している人たちが、自分の経験談を話している。学生の間に教師以外の大人に触れられる、貴重な機会だ。
月1で学生生活に関わるアンケートが行われて、いじめなど嫌なことがあった場合はここで申告することができる。iPadを持ち帰って家で回答するので、他の生徒に見られることはない。
クラス替えも定期的に行われて、生徒は一緒になりたくない人を指定できる。こちらは教師にすらわからない。全員の成績データも加味した上で、プログラムが自動で振り分けを行ってくれるからだ。