竹美映画評74 年齢不詳の兄弟にわくわく『ザ・スーパーマリオブラザース・ムービー』(”The Super Mario Bros. Movie”、2023年、アメリカ・日本)

まぁりおおおう…るいじぃぃぃいい
麗しいブロマンス…

スーパーマリオブラザーズ。ファミコンと言えばスーパーマリオって感じの時代を生々しく記憶している昭和世代の残りかすとしては、『スーパーマリオムービー』は外せないと思った。

観た。死ぬほどかわいい。

NYのブルックリンで配管工の事業を始めた年齢不詳の兄弟マリオ(声:クリス・プラット。レゴムービーと混同しそう)とルイージ(声:チャーリー・デイ。何気にかわいい役ばかりやってる)が異世界に吸い込まれ、ゲームでおなじみのキャラと冒険及び戦いを繰り広げるアニメ映画。ストーリーに捻りは無いが、何と言っても一つ一つのシーンの可愛さと笑いで充分に元が取れる作品。おまけに、80年代を生々しく記憶何かトラウマみたいな言い方だがw)している世代にとっては、途中で挟まる80年代ポップスと併せて懐かしいあの頃(子供時代)を懐かしむことになる。

大人かわいい、ならぬ、おやじかわいい

ともかく、マリオ・ルイージ兄弟のかわいさ。あの丸みをアニメとしてきちんと表現しつつ、可愛く見せるっていうのが本当に大事だと思う。ちなみに私は、スーパーマリオの前の「マリオブラザーズ」という配管工二人が地下で亀とか何か知らない生物とかと戦う、まあまあ単調なゲームしか持っていなかった!「スーパーマリオ」は、いつも友達の家とか、友達から借りてやるものだった上、私は攻略本をもってしても自分でクリアしたことが一回も無い!へたくそぉ(大竹しのぶ in 『黒い家』)!!

結局家が火事になったどさくさにファミコンは廃棄、持っていたソフトはすべて友達にあげた。私はああいうゲームには縁が無いらしいわ。

さて、あの頃のファミコン画面に出て来るマリオやルイージなんて全然かわいくなかった。ピーチ姫は象か何かに見えたし、唯一可愛かったのはキノピオくらいだろうか。パッケージではかわいく書いてあるのにどうして画面はこんなにかわいくないのだろう??ドラクエについてもそう思っていたが…そういう時代を何となく思い出させてくれるイントロ!!

気弱な弟ルイージと、それを庇うマリオ兄というのが、何か小鳥みたいにいじらしくて健気でかわいくて、それだけを見ていても幸せになっていた(ひどいわ!!人の不幸を消費しやがった??悪霊退散!!)。5月日本公開の『ブラフマーストラ』に出て来るナーガルジュナのかわいさに通じる。

登場時間わずか10分程度だけどスピンオフを期待!

また、クッパ(声はジャック・ブラックだって)が時折見せるイケメン風演技もおかしいのと同時にキュンとなる人、いると思う。また、ドンキーコングのキャラも出て来て筋肉を見せつけまくりますwそういう欲望に応えてくれる作品なんだと思うわこれは!

ブロマンスや男のかわいさ要素の集大成となっており、ピーチ姫が却って平板に見えてしまう。女性がアクションのパートをやるのは当たり前になり、男女ロマンス要素ゼロという今らしさを追求したことと関係あるのだろうか。でもねッ!!『RRR』同様、男女ロマンス要素がありすぎたらブロマンスに影が差すでしょう??

男女関係描写が匂わせる程度になったことは、我々に何をもたらすのだろうか。かつての、男女ロマンスがメインだが、この男と男の関係は何なのよううううと妄想させていた物語の見せ方は反転した。むしろブロマンスばっかりに目が行くの(元々じゃねえか男好きぃ!はーあ男好きったら男好き(いじわる姉妹 from 『こいつら10%伝説』))。

思えば『ザ・コンサルタント』は、男女ロマンスすら無しで父親→兄弟の宿命の絆腐葉土が凄かった作品である。『RRR』好きなら絶対好きだよね皆ぁ?!

最後10分。ジョン・バーンサルとベン・アフレックの間に流れる唐突な腐葉土感ッ!必殺兄貴セリフ「俺が見つけてやる」で失神者続出。上映禁止(嘘)

しかしねえ、兄弟の年齢設定が謎なの。やっていることは20歳位の男子のやることなんだけど、顔がねえ…30代後半に見えるのよね…。その方が私は好きだけど。帽子を取ったときのもしゃっとした前髪も好き…。

やっぱり怒られていた。

ところで、偽物イタリア人風英語を話すイタリア系移民の子孫の二人という表現はちょっと気になった。気にする方がおかしいのか、気にしない方がおかしいのか私の中でよく分からなくなってしまった米国人の民族的特徴表象だ。「AがダメなのにBはいいの?」という疑問は、Whataboutismだったか、つまんねえ言い訳情緒だということなので、謙虚になりやがれってことで理解しております(皮肉)。私個人としては本当は何もかもほとんどどうでもいいんだけど、「本当にどうでもいいのか?」ということと、この種の議論の中で一方的にやられてしまった人達、「差別主義者」というレッテルを貼られて、結局後になったらうやむやにされてしまった人達は浮かばれないぞ、という気がしている。

でもねえ、「何だったんだよ?」というのはこれからどんどん出て来ると思う。やっぱりこういう意見が出ていた。

「屈しない」という言い方は好きじゃないし、「賛辞」が多数派とも思わない。なのにその書き方。面白いからヒットしてるってだけだって。でも、そもそもメディア側によるWOKEムーブメント盛り上げに加担してきたのは我々一般人である。そのメディアは一般大衆のことを免罪してくれるから、起きたことに対して誰一人謝罪しないだろうし、私自身誰に謝罪すべきかも分からないのだが、反省はするよ。

色んな伏線も残して続編製作も何となく期待されるマリオムービー、主演マリオの声にクリス・プラットを当ててレゴ・ムービー的なものを狙いつつ、より「心の腐葉土がしっとり」した仕上がりになっている本作、少なくとも笑顔で劇場を出られるよ!!

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