竹美(タケミ・ガ・ミエタラ・オワリ)

ゲイでパヨクで映画ファンです。ベスト映画は『皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」』です。日本映画では木下恵介監督が好きです。 「映画パンフは宇宙だ」に参加、Fan Zine 『Us[アス]』を担当しました。 https://pamphlet-uchuda.com/

竹美(タケミ・ガ・ミエタラ・オワリ)

ゲイでパヨクで映画ファンです。ベスト映画は『皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」』です。日本映画では木下恵介監督が好きです。 「映画パンフは宇宙だ」に参加、Fan Zine 『Us[アス]』を担当しました。 https://pamphlet-uchuda.com/

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最近の記事

トランプ現象に寄せて② 『ザ・マミー』を見直す。

差別する側から社会をまなざすホラーの観客 『ゲット・アウト』では、天使のふりしたジョーダン・ピールが悪魔の素顔をちら見せした。お笑いをやって来た人に毒が無いはずがなかろう。知性という「悪意」で物事をぶった切るから彼の映画は面白いのだ。 ホラー映画は、本来的に、恐怖や嫌悪の対象、危害を加えて来る対象から逃れたり、それらを排除・殲滅する物語であるから、何が怖がられ、排除されるべきなのか?を端的に表現している。 つまりホラー映画の物語は当該社会に引かれたノーマルとアブノーマル

    • トランプ現象に寄せて① 『ゲット・アウト』を見直す。

      体調を崩したりして映画館に行けず…また話題作の『Bhool bhulaiyaa 3』『Singham again』の評価が低くて観たいという意欲がうせてしまった。 『Bagheera』は中二病趣味とマッチョ趣味を満足させてくれそうだったがプネー地区では上映が終わってしまった。 また、折からのトランプ政権成立という事件も起き、久しぶりに色々思い出した。ホラー映画に関する本が書きたいという夢も。 その夢に一歩でも近づくため、というわけでもないが、なんとなく、配信で、ジョーダ

      • 映画メモ 10月最後の週+11月1週目

        せっかく大作映画が次々に封切られたのにあまり映画を観る時間と気力が無く、配信を観た。 ①Love me(Amazon Prime)←ロマンチック幽霊譚だが盛り込み過ぎて行方知れずに💛💛 ②Kalinga(Amazon Prime)←俺らの村にも『KANTARA』を!💛 ③ドラマ『地獄が呼んでいる』シーズン2(Netflix)←社会風刺に溢れた傑作寓話の更なる飛躍!💛💛💛💛 ①Love me(インド・テルグ語、2024年):中二病ヒーローに熱視線。 あらすじ: 怖いもの知

        • 竹美映画評103 80年代青春ホラーにMAGAが見える 『ロストボーイ』("The Lost Boys"、アメリカ、1987年)

          しばらく1本の映画について書ける体力が無かったが、久々にヒットだったのが『ロストボーイ』。うっかり長々書いてしまった。 1987年アメリカのホラー映画が一つの全盛期を迎えた時期に製作されたジョエル・シュマッカー監督によるバンパイヤ映画である。 あらすじ: 離婚した母ルーシー、その息子サムとマイケルの家族は、彼女の実家のある海辺の観光地サンタ・カーラに引っ越して来る。サムは街の漫画店で地元の少年2人から「これを読んで気を付けろ」とバンパイヤに関するコミックを買わされる。一

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        • 竹美のホラー映画論
          83本
        • 竹美映画評
          106本
        • インド映画日記 ~きっと、何かある~
          67本
        • 竹美書評
          20本
        • シルバニアファミリー劇場
          15本
        • 小説
          4本

        記事

          インド児童向け図書『花を愛しなさい』 第三話『泥棒たちは逃げ出した』 その夜、少女はファイナルガールとなる

          なかなか衝撃的だった第一話に続き、短くてタイトルが不穏な第三話『泥棒たちが逃げ出した』を読んでみた。 今回も物騒な話だったわ…。 あらすじ 十二歳の少女ソハは、両親が仕事で夜遅くなる事が多く、うちで一人で過ごすことに慣れていた。ある日、詩人のリサイタル(この文化の香りよ)のチケットをもらったから、三人で行こうと言う母に対し、ソハは、一人でお留守番できると豪語する。 夕食後に両親が出かけたあと、友達の少女リトゥをうちに呼び、遊んで就寝。真夜中にドアをこじ開けようとする音に

          インド児童向け図書『花を愛しなさい』 第三話『泥棒たちは逃げ出した』 その夜、少女はファイナルガールとなる

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          インド飯に飽きたときの自炊メニュー

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          映画メモ 10月3週目

          2週目は疲労が強く、映画を観ても途中で止めてしまったりしたので無し。 少し元気になったので観てみた。 ①Udal:マラヤーラム版『ドント・ブリーズ』からケララ社会を読む←💛💛 ②Badshahi Angti:サタジット・レイ原作の探偵映画は腐葉土の香り←💛💛💛 ①Udal(2022年、インド・マラヤーラム語) https://www.youtube.com/watch?v=-iXsq4J-TwE あらすじ:コロナ禍のケララ州。田舎で寝たきりの義母の介護をさせられてい

          『破墓/パミョ』公開に寄せて 後編 日本への尽きぬ興味

          遂に10月18日から公開の期待作『破墓/パミョ』について、前回は、日本と韓国の怪談を比較してみた。 今回は、作中で触れられる日本、そして、現在の日本への眼差しについて考えてみたい。 『破墓/パミョ』では、抗日運動家の名前が登場人物名に使われているが、一人、本名を変えられた人物がいる。日本人の村山智順である。作中では「やまむら」と言及され、怪異のキーを握る存在だ。 それは映画を観ていただくとして、村山とはどんな人物だったのだろうか。 村山は、日本統治時代、朝鮮の文化・習

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          インドでクリスマスの歌に救われる

          目次 インドのプロテスタントとクリスマス曲を歌う ポップ歌手の信仰歌曲を聴く 神様は時々助けてくれる? 壺壺あんまり言わない方が… LGBTQと宗教保守の対決 私は元々東京でゲイの合唱団に入っていたくらいで、歌を歌うことがとても好き。でもインドに来てからは、騒音に寛容な社会であるにもかかわらず、大きな声で歌う機会は殆どない。 最近、仕事上の疲労が最高潮に達しており、周辺のほとんどのことに興味を失っていた。家でお酒を飲みながら音楽を聴く…リラクゼーションの時間のようだが実は

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          映画メモ 10月2週目

          今回のラインナップ: ①CTRL Netflixで鑑賞 ←主演のAnanya Pandayに好感を持った。💛💛 ②When Evil Lurks Amazon primeで鑑賞 ←アルゼンチンホラー、最恐💛💛💛 ③CENSOR Amazon primeで鑑賞 ←ビデオ華やかなりし頃の悪夢💛💛 ④House of Spoils Amazon primeで鑑賞 ←進歩主義的魔女映画💛💛 色々書いたら結構疲れてしまった。 (10月16日訂正:CENSORに関し、阻害→疎外。お恥ず

          映画メモ 10月初旬

          ①Grave torture (インドネシアホラー)Netflixで鑑賞←💛💛💛オヌヌメ ②PECHI (タミルホラー)Amazon primeで鑑賞 ③Kishkindha kaandam (マラヤーラム家族サスペンス)←💛❤💛とてもオヌヌメ 劇場で鑑賞   遂に10月。今月も楽しい映画が観られますように。 ①Grave torture(インドネシア、2024年) あらすじ 爆弾自爆テロで両親を失ったシータとアディルの兄妹は、預けられた寄宿学校から逃れ、後年シータは富裕

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          排水口の蓋窃盗事件の顛末

          映画メモ(9月3ー4週)

          ①Sound of freedom Amazon prime ②セクター36. Netflix ③A.R.M. (ヒンディー版)劇場 ④Devara Part 1(ヒンディー版)劇場 ①Sound of freedom あらすじ 我々が慣れ親しんだ生真面目なアメリカ映画の手触り 本作については一部で無視され、一部では熱狂的に迎えられた(賛否両論の)映画なのだということで理解していたのだが、作品を観てみて驚いた。あまりに生真面目な懐かしいアメリカ映画の雰囲気を感じたからだ

          竹美書評:知的暴力が人を導く(青井こうき『ビリガマ』)

          新宿二丁目のミックスバー『A day in the life』の店長、こうきさんが二冊目の本を出した。 前作『ぼくはかいぶつになりたくないのに』とはまた一味違う角度から描かれたエッセイ漫画。 その名も『ビリガマ』。 身体も顔も内面も清潔感のあるゲイだけがもてはやされる中で カマ・売り専・乱交パーティ・発展場・勃起・底辺・貧乏・虐待 等の露骨な単語がいっぱいの本書。笑いながらも少し胸が痛み、その鋭い知性に戦慄した。 底辺って!! タイトルの「ビリガマ」は、学歴もな

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          ハイデラバードの建物

          人間の欲に対する深い洞察 インド児童向け図書『花を愛しなさい』

          心のお洗濯と思って7月一か月間、一人でハイデラバードに住んでみた。 色々と、インドで独りで暮らす大変さや、土地勘のない場所での苦労、交通マナーやオートリクシャー運転手の横暴、挙句の果てに最後の週に熱帯特有の高熱が出てしまい、楽しい滞在も何だかしりすぼみになった。 お宿の人たちに助けられてクリニックで薬ももらい、ぐったりした状態でプネーに還った。 さて、そこでいくつかテルグ語の本を買った。しかしながら、その疲れからまた軽い鬱になってしまい、やっと今、本を読んでみようという気

          人間の欲に対する深い洞察 インド児童向け図書『花を愛しなさい』