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就職活動の文脈における”社会貢献性”とは何かを考えた。

はじめに

2025年卒の学生に向けて、今年に入ってから2回ほど1Dayインターンシップを開催した。イベント自体は小規模であったが、参加いただいた方からの評価がなかなかに良かったので、ほっと胸を撫で下ろしている。

小さな会社で会社説明とワークを複合させたイベントをどのように設計すれば、運営側の独りよがりにならず、満足度の高いインターンシップになるのか。その感覚をつかめた機会となったが、それは別の記事にて振り返りたいと思う。今回はイベント後に私が感じた「社会貢献性」とは何か?というテーマについて書いていきたい。


考えるきっかけ

インターンシップの参加後アンケートに「自社に興味を持った理由は何か」という項目* を設けた。選択肢は「障害や福祉へ関心があったから」「社会貢献性の高い事業内容に興味があったから」「ワークライフバランスの高い職場で働きたいと考えているから」といったものを並べていたが、結果は参加者の8割以上が「社会貢献性の高い事業内容」を参加理由として回答した。
* 複数の項目をチェック可能とした。

自社は障害のある方向けの保険商品を販売している。障害のある方は引受のリスクなどの関係で保険加入を断られてしまうことがあるため、そういった方々が加入可能な保険商品を取り扱う自社の事業内容は公共性の高い事業であり、参加者はそこに魅力や興味を感じてくれたのだと思う。

ただ、「コミュニケーション能力」といったときにイメージする内容が「傾聴力」「発信力」と人によって異なるように、ひとえに「社会貢献性」と言っても、学生ごとにイメージする内容は違うはずである。それに会社として存続している以上は、どのような事業内容であっても何かしらの社会貢献をしているのである。


就職活動における「社会貢献性」とは

新卒採用に関わっていると「Z世代は〇〇である」と安易にZ世代にキャラクター付けをして、「〇〇をすれば上手くいく」と採用やオンボーディングにまるで攻略法があるかのように語られていることがある。

きっと、新卒採用に最前線で携わられている方は世代をひとまとめにした取り扱い説明書的な表現には違和感を持つと思う。私自身も浪人・留年と人生のわき道をぐねぐね走り、Z世代の後輩と大学5年目をビッグバンドに費やしたが、どこかでそういった語られ方に馴染まなさを感じていた。

(あまり良くない表現になってしまうのだが)「社会貢献性」が重視されているという話を聞いた時に、まず私は「『カタログスペックの高い企業(社格や報酬が上)』と『社会貢献ができる企業』から内定が出たとき、候補者はどちらに内定承諾をするのだろう」ということを考えた。きっと答えは前者だと思う。
※もしスペックに踊らされずに後者に就職をすることを決めたのであれば、「就社」ではなく「就職」ができており、その方の就職活動は大成功であると思う。

おそらく「社会貢献性」という言葉が登場するのは単純なスペック対決が行われている際の文脈ではない。想像するに自分自身を納得させる際の文脈に登場する言葉ではないだろうか。「どうせ働くなら社会に貢献できる仕事が良い」といった具合である。満たされてる状態から社会貢献へと向かうのではなく、満たされていないから社会貢献を用いるという方向性だ。


そんなことを考えていたら、小島 雄一郎さんの記事に出会った。Z世代を「スペック(平均年収)と社会貢献」や「自己肯定感」というポイントで読み解かれている。ぜひ読んでみてほしい。

記事の中で特に私の感覚と一致したのが下記の内容である。

キーワードは「自分のための社会貢献」ではないだろうか。社会貢献と言うと無償の愛のようなイメージがあるが、日本の若者には「自己愛」が足りない。

そんな不足分の愛を満たすベクトルの1つが社会貢献意識になっている節はないだろうか。

自分の平均年収と社会貢献、どっちが大事ですか? | 小島 雄一郎

付き合いのあるZ世代の後輩たちが、社会貢献に燃えて就職活動をしている印象はなかったが、一方で能力がありながら自己肯定感の低い方は多かったと思う。もちろん、私の身近に限った話である可能性が大いにあるため一概には言えないのだが、「自己愛」が足りないという内容は納得度が高かった。


美味しい朝食も社会貢献である

話は変わるが、ここ最近は朝が忙しく自宅での朝食作りを諦めており、先日はじめて通勤途中にある松屋で朝食をとった。『ソーセージエッグ定食』は450円でちょっとした旅館のようなメニューが食べられるうえに、選べる小鉢をミニ牛皿にすることで「牛めし」感も味わえる感動ものの定食であった。

まさに神の定食である。明日も食べよう。

牛めしと紅生姜を乗せたご飯を頬張りながら、「この朝食は立派な社会貢献ではないか」と気付いた瞬間があった。モーニングが全国で一日にどれだけ提供されているかわからないが、朝忙しい人々の胃袋をこの朝食は救っているのである。


この記事のまとめ

就職活動における「社会貢献性」ブームに若者の「自己肯定感」が関わっていることが見えてきた。私がいち採用担当者としてできることは安易に自社の「社会貢献性」のアピールするのではなく、自社の事業を通じて世の中とどのように接点を持てるかということをしっかりと伝えていくことだと思う。

3月からいよいよ就職活動が解禁となるが、相互に納得度の高い活動が行えるように引き続き尽力していきたい。

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