アートのウェブサイト「exhiwork」を作った理由
システムエンジニアのしゅんすけです。
先日、アートのコレクション投稿サイト「exhiwork」を公開しました。
構想から4年が経ち、なんとか形にできたな、と思うなか、改めてサイトを作った理由を今の視点で記録に残そうと思う。
プログラム経験ゼロからでも何かを作り上げることはできるという経験談でもあるし、何より新しいサービスを世の中に提供できたことの喜びが大きい。その経緯を少しだけでも書き記したい。
社会貢献できる事業を求めて、地域おこし協力隊へ
国立大学卒業後、したい仕事が見つからず、飲食店で勤務をしていたが、体力的に厳しいのと、新たなスキルや経験を身につけるべく、地域おこし協力隊へ応募する。岡山県備前市という備前焼が有名な町に赴任することとなった。かつては勤めていた会社を辞めて、備前焼作家を目指す人がいるなどとても景気の良い時代があったそうだが、今は一部の人気作家を除き、業界全体として売上が低迷しているそうだ。
自分としては地域おこし協力隊として来たからには、少しでも貢献できることをしたいと考え、いろんな企画を提案しギフトショーに出展するなど販売促進に力を入れた。ただ、いずれもうまくいかず、資金も底をつき、途方に暮れていたところ、仕事の任期が終了する。
社会貢献と思って取り組んでいた仕事だったが、なんの後ろ盾もない個人でできる広告宣伝というものの無力さだけが残った。広告宣伝は、商品を広めることはできるかもしれないが、その商品価値を築いていくような過程まで踏み込むことは難しい。特に美術業界の作品価値というものはオークションなど2次市場の影響が大きい。1次市場向けの広告宣伝だけでは、商品価値を体系づけることさえ難しい。
アートのメディアはあるが、SNSがない
アートの価値とはなんだろうか、それはイコール作家の価値なのか。アーティスト、ギャラリー、美術館、キュレーターなど、アートに関わるプレイヤーは様々だが、一般市民がその世界に入るためにはメディアからの情報に頼るところが大きい。備前焼では隠崎隆一が人気だそうだが、その情報の根拠はどこにあるのか、ヤフオクなどインターネットではわからない。株・不動産・本・家電、いまあらゆる商品価値がウェブ上で評価されているにも関わらず、アートの価値は曖昧で体系だっていない。すごく閉じられた世界だと感じた。
ウェブサービスに目を向ける。
海外の人とも共有できるアートのプラットフォームをつくりたい。そこには、自分がアートの価値をわかりたい、という思いがあったように思う。自分は何十万円、何百万円とする作品を購入できない。そのような作品を美術館で鑑賞するだけではない、自分のアートの世界を共有する世界をつくれないか。数千円の備前焼の花器を、自分の買ったアートとして世界に公開できないか。
サイトのコンセプトは展示「exhibition」と作品「work」を組み合わせた造語
「exhiwork」。幸いなことにドメインが取得できた。世界中で誰も考えたことのない名前を取得できたことに心が震えた。日本語ではないところにグローバルに広がっていくサービスを期待できた。
プログラム未経験からの開発
ただ、自分自身でサイトをつくることはできないと思った。HTMLなどウェブデザインを多少触ったくらいでシステム開発の経験が無かったからだ。安定した収入もないなか、ビジネスプランコンテストに参加し、資金調達を募ったが、失敗する。そのなかである起業家に出会い、諭され自分でつくることを決意する。
独学でできるほど賢くないし、何より実務経験を身につけたかったので、就職することにした。そこで働く傍ら、少しずつ手をつけて、この春ようやくウェブサイトを一般公開できた。
コロナのおかげで引きこもっていることに抵抗なく開発を進められたのは有難い。この3年は技術屋として、少しずつできることが増えていくのは面白かった。技術的な話はQiitaにでも少しずつ書けたら書こうと思う。
開発者としてはシステムのつくりにどうしても目が行きがちだが、これからは、コンテンツの中身や見せ方にももっとこだわって開発していきたい。今ようやくスタートできたので、これからもっとユーザーに楽しんでもらえるような機能を増やしていきたい。