廃棄されるはずだった5着の服が、ウェディングドレスになるまで。
ドレスの仕立て屋・リメイク作家のタケチヒロミです。
先日書いた「ドレスは環境問題に貢献できるか?」という記事を公式マガジンに載せていただいたみたいで、とっても嬉しいです。
今日はその「エシカル・ウェディングドレス」の創作のドラマについて。
廃棄される予定だった5着の服が、エシカルなウェディングドレスになるまでの工程です。完成品を見ただけではわからない手順や、リメイクの発想法なども書いてみます。
破棄される5着の服がウェディングドレスになるまで
今回このドレスは、リメイクコンテストに応募する作品として制作しました。
普段の繊細なウェディングドレスやヴィンテージドレスのリメイクとは異なり、かなり大胆な「作品」志向の強いものだったので、自由で楽しかった〜。思わず歌いながら作っています。音痴なので音はなし(笑)
atelier HIKITSUGI「リメイクコンテスト」
「エシカル・ウェディングドレス」は、昨年開催されたatelier HIKITSUGI「リメイクコンテスト」に応募し、最優秀賞を頂いた作品です。
こちらのリメイクコンテストは、材料の服をピックアップする東京でのイベントへの出席が参加条件でした。ところが東京行きの旅が、まさかの台風到来で中止に…。
別日には行けなかったので、スタッフの方に5着のセレクトをお願いいたしました。リクエストは、白と生成りだけで5着。
そう、最初からウェディングドレスを作るつもりで。
デザインは届いたものを見て決める作戦
リメイクのデザインは、届いたものを見てから考えるつもりでした。最初からウェディングドレスを作るつもりではいましたが、どんなものが届くかはわからない。本当にドレスとして成立するのか不安はありましたが、きっと何とでもなるだろうし、なんだかサプライズプレゼントみたいでワクワクしました。
じゃ〜ん。入っていたのはこの5着。(と、4メートルの裏地)
そしてこちらは、サイドが開いていてヒモで結べるようになっているワンピース。これを見た瞬間、ヨシっ!と思いました。
だってコレ、かなり面白く使えそうじゃないですか?ムフフ。
服と会話する
「ワタシハネ、ソデニナリタイノ」
囁くような声がしました。
え?誰か何か言った?
あら、あなたでしたか。
そうね、身頃丸ごとボリューミーなお袖にするとかっこいいかも。しかもアシメントリーな感じに。
こういうことでしょ?
そんな感じで、服と話しをしてデザインを決めています。はい、ただのヤバい奴です。
そういえば、コンテスト後のインスタライブで、「デザインはどうやって思いついたんですか」という質問がありました。あたりさわりなく「服をよく観察して…」みたいなことを言ったかと思います。でも本当は、服とがっつり会話をしていたのです。やば。
「服と会話する」なんてインスタライブ で言おうものなら、全速力で引かれるのは目に見えていますからね。それは言わないでおきました。大人ですから。
でもきっと服にも「こうなりたい」みたいなものがあるんじゃないかなあ。その服の良いところ、面白いところを見つけてあげて、別の使い方を考えるのもリメイクの楽しいところ。
先述のワンピースは、オーバースカートとして履かせてみましたよ。
このワンピースを、
↓
履かせてみました。
「えっ私、スカートになっちゃうの?」って、服も驚いただろうなぁ。「まぁでもスカートとしての人生(服生)もアリかもね」って言ってそうにも見えます。
トップスを袖にしてみたり、シャツをスカートのフリルにしたり。
このシャツを丸ごとスカートに使っているところ、わかります?
↓そう、ここです。あえてのボタン残し。
アンダースカートに使った4メートルの裏地の裁断後のハギレや、身頃丸ごと袖に使ったトップスの本来の袖部分や、ワンピースのヒモまでも余すところなく。
最後の最後に余った端切れは、コサージュにして胸元に。
残ったのはわずかこれだけ!
やり切った感!
「エシカル」というコンセプトだけではなく、ちゃんとドレスとして「美しい」ということを目指していたので、美しさを評価していただけたことはものすごく嬉しかったです。
でもやっぱり、ドレスは人が着た時に一番輝く。
つゆちゃん結婚おめでとう!
服たちも、きっとよろこんでる。
▽参考記事
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