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「つくる」ことも「まなぶ」ことも。

このどんよりした天気のせいもあるのかもしれないけれど、なんとなく不安で、何も手につかない時、「つくる」仕事があってよかったなあと思う。

手を動かしていると、心が落ち着くから。

今しているのは、「お母様のウェディングドレスのリメイク」

ドレスを作られたのは、仕立て屋だったおばあさま。

三世代の想いを繋ぐ仕事。

いつもよりも少し長い時間をかけてじっくり取り組んでいる。

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「つくる」ことも「まなぶ」ことも

そして「学ぶ」ことも、等しく心を穏やかにさせてくれる。

今、西洋芸術史の勉強をしているのだけど、紀元前何百年という大昔の人々の創造物から、当時の生活や信仰などの文化がわかるなんてすごいことだ。

彫像や人物画の衣装の襞(衣襞)から、当時の文化の影響や、信仰や、異文化への憧れみたいなものまでわかる。そして現代と同じように、流行やオマージュが繰り返されたりする。

何千年も前のことが、誰かが作ったものからわかるなんて。

彫刻の鑿の跡や、壁画の筆跡からどういう思想のもとに、何の文化の影響でそうなっているのかが研究され評価されている。

けれどもきっと作った本人は、学問の対象になるなんて思ってもなくて、異文化に憧れ、先人たちに焦がれて、ただひたむきに作っていたのかも知れない。

「あのギリシャの作り方めっちゃかっこいいやん。憧れるわ〜。」

なんて。

作った人の体はなくなっていても、作られたものは残り、思いが残る。

それは希望だ。


「おもい」はのこる

いまお直しをしているお母様のウェディングドレスは、仕立て屋だった花嫁さまのおばあさまが作られたもの。そのドレスは、花嫁さまのお母様が着られ、叔母さまも着られたそうだ。

ドレスを直していると、そのことがわかる。

最初に着られた方は華奢だったこと、二度目に着られた方は長身だったこと。そして最初から、体型の違う二人の娘が着ることを想定して作られていることもわかる。

丁寧に、愛を込めて作られていることも。

おばあさまは亡くなられているけれど、思いは残っている。

ちっともこわくない。

心が静かになる。

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おはよう、雨だね

と、ここまで書いて、娘が制服のブラウスを取りにやって来た。

「おはよう、雨だね」

と言うと、

「きのう、雨の音で勉強はかどったよ」と。

いいことを言う。


こんな日は、雨の音を聞きながら、手を動かそう。

そしてすこし勉強も。


今日もいい日だ。






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