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故郷の味
早いもので今年もあと一週間、いろいろなことがあったが、何とか無事に来年に滑り込めそうな感じだ。初秋にnoteに投稿をし始めて3ヶ月、ずっと心に引っかかっていた闘病備忘録も現在に追いついてきた。このままこの記録を更新しなくていい状況になれば最高に幸せだろうけど、まあこれからも色々な後遺症に悩まされることだろう。
話を元に戻すことにして、そろそろ年末年始を過ごす準備をしなければならない。年越しそばはそう急ぐ必要はないだろうが、お雑煮の材料もぼちぼち揃えていって、おせちをどうするかを決めないといけない。妻と二人のお正月なので毎年安いスーパーの出来合いのおせちを買っていたのだが、それでも持て余すようになってきた。なのでこのお正月は自分たちが好んで食べそうなものだけを買って重箱一段に納めることにした。亡き母が元気だった頃は家でおせちを造ってくれてその味は子供の頃からのお正月の味として記憶の片隅に残っている。そんな記憶を呼び起こしながら考えていると無性に故郷の味が恋しくなってきた。
僕は四国愛媛の出身で父方の本家が南予宇和島だったこともありお正月は宇和島で過ごすことが多かった。父が転勤族だったので小学生のちょうど大阪万博の頃に宇和島に住んでいたこともある。その時代にはまだ八百屋、肉屋、魚屋などの小さな店がたくさんあって魚屋へ行けば今は名物となっている宇和島じゃこ天の揚げたてを売っていて10円玉一枚握りしめておやつ代わりに買い食いしたものだった。今はたぶん子供のお小遣いじゃ買えないくらいの値段だろう…。代わりにネット通販ができたおかげで何処にいても故郷の味が楽しめるようになった。そんなわけで今年のおせちには宇和島じゃこ天と揚げ巻きという蒲鉾が加わることになる。郷土料理の鯛そうめんなどはレシピと料理の心得がないと造ることができないが切れば食べられる練り物で故郷の思い出、子供の頃の暮らしを思い出せるなら、前倒ししたクリスマスディナーよりも美味しく食べられるかもしれない。そういう意味でも口から味わいながら食べるという行為は生きてゆくのに不可欠なことであり、その能力を危うく失いそうになった今年の秋はこれまでの人生でも最大級の危機だったということだろう。