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カメラ道楽
何年か前に無人の実家の片付けをしていたら、僕が子供の頃から高校生を卒業する頃までのアルバムが出てきた。実家が無人になったのは両親が年老いて施設に転居したためで、親父がこの家を建てたのは僕が中学3年になる春のこと。高校を卒業するとき僕は地元から少し離れた大学に通うことにしたので、実質この家には4年しか住んでいない。が、まぁ人並みには里帰りもしていたから家自体にはそれなりの思い出もある。見つけたアルバムに貼ってあった写真は当然の事ながらモノクロの家族写真が多く、その何割かはセピア色に灼けて、写っている家族の風貌の変化とともにそれなりの歴史を感じさせた。そして、さらに片付けを進めていると、親父が使っていたカメラが2台出てきた。
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Nikonの一眼レフとコニシロクのカメラだった。もちろんどちらもフィルムカメラだ。Nikonの方にはナショナルの大きなストロボもついている。交換レンズはNikkorの50mmF1.4も転がっていた。レンズを覗いてみると中はカビだらけで使えそうな代物ではないし、僕も今更フィルムカメラを使う気はあまりない、というよりも露出計など使い方もわからない。だけど、この機材を見て亡き父が嬉しそうに遊んでいる姿は容易に想像できた。今のデジタルカメラなどに比べてはるかに写真を撮るハードルも高かっただろう、そんな時代に写真家を気取って家族を撮っていたんだろうなぁと思うと今の自分の姿が重なってニヤッと笑いたくなった。これはまさしく道楽だ。僕自身、写真が趣味か、カメラが趣味かと聞かれればはっきりと答えられないが、正確に言うとカメラというおもちゃをイジって遊びながらできれば良い写真も撮ってみたいというのが一番当たっているような気がする。僕には昭和の頑固親父のイメージしかなくて生きているときには遊ぶ姿など見たこともないような気がする父だが、ちゃんと同じような道楽もあったんだなぁと今さらながら思うわけである。