映画「オーケストラ!」がいつ見ても泣ける
2ケタ回数繰り返し見る映画は、人生の中でそうそうないはず。
映画の評論ブログを書くのはそんなに好きではないけれど、そんな特別な映画だけはしっかり記録に残したい。
ということで、クラシック音楽の世界と共に感動の涙を流したい人には、「オーケストラ!」をオススメします!
オーケストラ!とは
あらすじはこちら。
物語はとてもシンプルです。
かつて、有名なボリショイ交響楽団でレジェンドと呼ばれた指揮者アンドレイとその仲間が、当時潰えた夢を叶えるべく、もう一度ボリショイの看板を背負って30年ぶりにパリで演奏をしようと立ち上がる。
選んだ曲目はチャイコフスキーのバイオリン協奏曲 ニ長調 作品35。
この楽曲のためにアンドレイが選んだソリストは、フランスの大人気バイオリニスト、アンヌ・マリー・ジャケ。
実は、彼女を選んだのにはある理由があった…。
というようなお話なんだけど、主人公たちがパリへ行くまでの顛末が、
完全にコメディで笑うしかない。
30年間全く楽器を弾いていない元楽団メンバーばかりを集めていきなりパリの大舞台で演奏しようとしてるし、みんなパスポートすら持っておらず、空港のチェックインカウンターの目の前で偽造パスポートを作って飛行機に乗ったり(乗れちゃうんかよ!)、みんな基本的に貧乏だから、パリについて早々アルバイトに精を出し始めちゃったり(リハーサルしろよ!)。
そんな感じなのでろくに本番に向けた練習もできておらず、本番は超・グダグダ。
……と思われたが……!?
と、ここから感動的な展開になっていきます。
オーケストラ!の魅力
一番の魅力は、なんといっても、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲。
この曲がもう、本当に素晴らしい。チャイコフスキーこそ音楽の最高神!
(ドラクエファンとしてはすぎやまこういち先生をTOPに持ってくるところであれば、リアルに同率1位!)
映画の最後、このバイオリン協奏曲の演奏シーンが約12分間あります。
泣けるのはこの演奏シーンなのだ。
無理やり集めた即席オーケストラなので、曲の出だしは目も当てられないほどぐちゃぐちゃ。
「あ、終わったわ、これ」
と関係者の誰もが肩を落とすが、そこで、アンヌ・マリーのバイオリンソロが入った瞬間、団員の様子が一気に変わる。みんなハッと目を瞠り、その音に聴き入り、何かを取り戻したようにだんだんと全員の音色が揃いだす。
演奏中に、主人公アンドレイ達とアンヌ・マリーの関係や彼女の出生の秘密が明かされる回想シーンが入るのだが……一応泣けるポイントはそこなんだけれども、正直、ストーリーはわりと単純なのでその回想シーンだけ見ても「ふーん」の一言。
つまり、胸を打つのはストーリーというよりも完全に音楽なのだ。
そして、アンヌ・マリーのバイオリンの音色に30年前の仲間への思いを馳せ、長いブランクを乗り越えて立派に演奏するご老人楽団(実際にはありえない展開!)。彼らの真剣な演奏シーンを一人ひとり映していくカメラワークも、感動を倍増させるポイントである。
アンヌ・マリー役のメラニー・ロランは、この映画のために4ヵ月間みっちバイオリンの特訓を行ったそう。だからこその本格的な演奏シーン。
そして、それが涙が溢れるまでの感動を呼ぶんだろうなぁ。
手先だけプロ演奏者の替え玉にするような演技だったら、きっと全然出来栄えが違ったはず。
今や、パブロフの犬みたいにこの曲を聴くだけで泣ける。
うっかり通勤時のBGMにすると大変なことになるのである。
また、比較的コメディ要素の強いこの作品けれども、共産主義体制が敷かれていた旧ソ連時代の人々の苦しみも垣間見れたり。そんな要所要所に見える
締めポイントも魅力だったりする。
前向きで温かい気持ちになれる感動作。
「オーケストラ!」
なんだか無性に泣きたい時に見るのがオススメです。
残念なお知らせですが、現在この作品を見れる動画配信サービスがU-NEXTのみ。私はそれでもどうしても見たかったので、1ヵ月無料配信サービスに申し込んで1ヵ月ギリギリまで何度も見て楽しんでいます。
うっかり月をまたいで月額料金が発生するパターンになる予感がヒシヒシするぜ!