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第2章 列島が育む食材 02.キノコ―日本vs西洋の人気キノコ:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その04

2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。

 

トリュフ(セイヨウショウロ属)、ポルチーニ(イグチ属)、 モリーユ(アミガサタケ属)などは、欧米において高級食材とされる野生キノコである。 そのいずれの仲間も日本に分布するが、和食の材料としては登場しない。これらは発生する量も多く、昔の日本人がその存在を知らなかったとは考えづらい。 反対に、日本で人気のあるハナイグチ、ナメコ、エノキタケのようにぬめりの強いキノコは、欧米では嫌われる傾向にある(図04.01,図04.02,[2]のp.32-35,[3])。

図04.01.日本vs西洋の人気キノコ。


(a)向かって左から、ハナイグチ、ナメコ、および、エノキタケ。
(b)向かって左から、アミガサタケとシャグマアミガサタケ。
(c)ヤマドリタケモドキ。
(d)ショウロ。
(e)イボセイヨウショウロ。
(f)外国産野生キノコ商品。
図04.02.日本と外国の食用キノコ。


それにしても、キノコの好みにも地域や文化の差が表れていることは実に興味深い。

実際、アンズタケは、ヨーロッパを代表する人気きのこで、ヤマドリタケ(ポルチーニ)やアミガサタケ(モリーユ)と並ぶヨーロッパ三大食用きのこの1つである。一方、日本では、大量に収穫できるにもかかわらず、一部のマニアを除きほとんど食用に供されることはない。その理由は、日本のきのこ料理の定番である「鍋物」や「汁物」などの味噌や醤油の日本固有の味付けに合わないためと思われる([4])。


さて、機会があれば、ヤマドリタケ(ポルチーニ)やアミガサタケ(モリーユ)などのキノコを使って、雑炊やうどんを作るとするか。



参考文献

[1] 株式会社 朝日新聞社.“特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」 ホームページ”.https://washoku2023.exhibit.jp/,(参照2024年11月09日).

[2] 特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」ガイドブック,168 p.

[3] ホクト株式会社.“ヨーロッパのきのこ”.ホクト ホームページ.企業・IR.きのこ総合研究所.独自技術による研究開発.https://www.hokto-kinoko.co.jp/corporate/kenkyu/dokujigijyutsu/europekinoko/,(参照2024年11月09日).

[4] 株式会社 キノックス.“きのこの豆知識・その4 美味しいきのこ アンズタケ”.キノックス トップページ.きのこ博士.きのこの豆知識.https://www.kinokkusu.co.jp/etc/09zatugaku/mame/mame04-5.html,(参照2024年11月09日).

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