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[note39]板書は消えゆくのか?

「板書」、してますか?

いきなりの変な問いかけですが、生徒達は一人一台の端末を持ち、教科書や資料集がデジタル化され、これまで作ったプリントもPDF化することで簡単に生徒と共有することができる時代です。「板書はほぼしていない」という声も聞くようになりました。以下の記事は2015年のものですが、Beforeコロナです。あれから一層の教育におけるICT化が進んでいるわけで、チョークの苦境は更に進んでいると思われます。

教室に欠かせないチョークと黒板に変化-。少子化を背景に全国の学校で廃校や閉鎖が相次ぎ、教育現場では電子黒板やタブレット端末も普及。IT化を受け、教師らが授業で黒板を使う場面も少なくなった。老舗メーカーが廃業に追い込まれたチョーク業界も苦境に立たされている。日本白墨工業組合(名古屋市)の調べによると、経済成長や子供数増加に伴い、チョークの売り上げは1990年代初めにピークを迎えた。その後、学校の教室には黒板に代わり、マーカーなどで書くホワイトボードが台頭。ITを活用し、大型テレビのような大画面にさまざまな教材を映し出す電子黒板も開発された。チョークで黒板に書いたり、資料を張ったりする時間も短縮可能。文部科学省によれば2014年3月時点で、電子黒板は全国の公立小中高校での普及率は8割近くに達している。

産経新聞(2015年1月23日の記事)

(穴埋め)プリントor板書

特に大学受験段階になると、授業内容と時間との戦いです。勤務校では高校の地歴公民科は基本的にプリントベース。以前、noteで「穴埋めプリント」の是非について考えたことがありました。私は現在、高校3年生の政治経済と高校1年生の公共を担当しています。公共では補足程度にしか板書はしていません。その代わりに生徒の意見共有、集約などの時間に充てています。書くことよりも考えること、書き出すこと、聞くこと、まとめることを重視しているためです。実際、授業プリントは配布しますが、完成形はCanvaで作成したスライドで提示しています。

民主主義に関する授業のスライドの一部➡教師が最低限のレベルで書くことはもはやありません

一方、より多くの項目を扱う政治経済では最初に板書をしています。
教える項目が多いので、A4のノートページに収まるように内容を圧縮して、板書案を作り、実際には生徒とのやり取りで加筆していく形です。

地域経済統合に関する全体像をまとめた板書(ノート)➡自由度の高さを感じるのは教師だけ??

板書事項をプリント化したら、どうなる!?

こう考えて、放課後の講習でやってみました。ところが、どうにもしっくりこない90分になりました。生徒からすれば、予めプリント化されていれば楽であるし、教師側も必要事項以外を書き込む必要がないので時間の短縮になります。ところが、同じことでも何となく感覚が違っていました。説明が難しいのですが、プリントは形式化され、教師によってまとめられ、ある程度完成された文書、板書は必要に応じて生徒の疑問や問いをアレンジする物語のような違いを感じていました。
 ・板書事項のプリント➡効率的・再現度が高い
 ・板書➡自由度が高く、板書を生徒との協働作業で作成する余地がある
もちろん、プリントでも協働作業はできるわけですが、何か違う・・・。
自分が抱いた違和感は何でしょうか?このことをfacebookに投げてみると、面白いコメントをいただきました。以下の引用はヤクルト・阪神・楽天で監督を務めた野村克也さんが著書で述べていたことだそうです。

ヤクルト時代はミーティングの際に板書したことを選手たちにノートに取らせていたが、阪神では最初から印刷したテキストを使った。板書するのが面倒くさく、横着してしまった。これが大失敗。自分で手を動かさないと選手たちの頭には何も残らない。それが阪神で結果を出せなかった大きな理由だ

ノムラの教え 弱者の戦略99の名言(講談社2013年5月21日)

板書について、その存在意義を二項対立的に考える必要はありません。
ICTによる授業も、板書を使った授業にも、それぞれの特徴(利点と欠点)があるからです。しかし、今日、「書く」という行為が次第に存在感を失っているように思います。一方で、ベストセラーとなった前田裕二さんの『メモの魔力』のように「書くこと(メモを取ること」について、改めて定義づけした書籍もあります(ここではメモと板書は少し話が違いますが…)

学校における「書く」という行為の在り方

これは必要に応じて見直す必要があるケースは多々あります。目的が明確でなく、「書くこと」が目的となっているケースは多々あるからです。そして社会科(地歴公民科)では、しばしば「書く」という「作業」が授業の多くを占めるケースもまだまだあるでしょう。本当の意味で「書く」とは、どういうことだろう?毎日のようにモヤモヤが続く中で、また新しいモヤモヤが登場してしまいました。日々、疑問ばかりnoteに投稿していますが、「モヤモヤを一緒に議論しても良いですよ!」という方、「自分はこう考えています」というコメント、随時、お待ちしています!!

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