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[note18]「公共」と「定期試験」をどう考えよう?

来年の高校1年生から新科目「公共」がスタートします。目下、どのように授業で扱っていくか悩み中ですが、その中で1つ頭に浮かんだことを今日はまとめてみたいと思います。
新しい学習指導要領において「公共」が目指す方向性を端的に言うならば、①基礎的な知識及び技能の習得
②基礎的な知識技能の活用
の2つだと考えています。①「習得」に関しては様々な教科科目で共通する部分であるし、その効果を測るためには総括的評価としての定期試験は有効な手段であったと思います。問題は②の「活用」です。ここには色々な意見があると思いますが、ある社会事象(テーマ、主題)に対する様々な考察や分析を通して、課題解決を目指す取り組みや姿勢だと個人的には考えます。当然、そこでは思考・判断・表現という営みが重要になるはずです。ならば定期試験のような総括的評価だけでなく、テーマに対して、どのような認識を持っているかを測ること(診断的評価)や学習の途中で学びの状況を判断すること(形成的評価)も不可欠になるはずです。
「公共」では、『社会における合意形成や社会参画を見据えて』と表現していることからも、これらが学習内容の必須項目とはされていません。しかし何らかの形で合意形成や社会参画を絡めることは重要であると思われます。これらは「総合的な探究」の分野かも知れませんが、これまでの授業では、どうしても①「習得」に偏ってしまう傾向があります。「習得」はあくまでも「活用」を目標とした1つの営みであり、それで留まってしまうと十分な「公共」としての役割を果たすことはできないかもしれません。
さて、本題。「公共」について考える中で考えたことが1つあります。
いつものように一般論ではないと思いますが、お付き合い下さい。

『「公共」って定期試験に馴染まないんじゃないかなあ?』

もちろん、基本的な知識を得る手段として従来型の定期試験を必要とする面はあると思いますが「公共」の目的が「習得」と「活用」である以上は評価も、それに合致したものとするべきだということです。以前、ある先生から「授業が目指すものと、定期試験の不一致は大きな課題である」というお話を聞いたことがあります。つまり、授業では様々な思考、表現活動を行っていても暗記型テストを行っていては生徒は「成績」・「評定」というニーズから、後者に力を注ぐことになるのは当然だと思います。だからといって、いきなり「定期試験はしません!」とはなかなか進めないのが実情です。だったら、どんな方法があるんだろう?

持ち込み式の定期試験の可能性

定期試験の改革については、麹町中学校などが大きく注目されました。また福岡県の須恵町立須恵中学校は定期試験に学習ノート持参をOKにしたことが朝日新聞に取り上げられました。その他にも従来の評価方法を見直す動きを目にすることも出てきました。
さて、地歴公民科ですが、定期試験は①空所補充②正誤問題③説明問題④論述の4つのパターンで構成されることが一般的です。これは大学入試問題を意識した構成とも言えますが、採点のしやすさ、大量の答案を制限時間内に処理しなければならないという事情も無関係ではありません。しかし、①や②の学習過程を見ると生徒はテキストやプリントにマーカーを引き、語句を文脈や内容ではなく単語として短期的に暗記する傾向があります。③も自分の言葉で再構築しているものであれば良いのですが教師の板書やプリント、教科書の説明を丸暗記して記述しているのならば、意味はありません。唯一④は内容にもよりますが、知識の取捨選択や編集力を求められるため、目指す力に合致する面があると思います。

持ち込み式の定期試験をやるとしたら・・・

まあ、大変だろうな…というのが正直な想像です。
持ち込み式にして従来型の試験をやったら、お笑いです。作問にはこれまでよりも遥かに創意工夫が必要となるでしょうし、採点の客観性も必要です。
教員の負担も相当なものになるはずです。そこには何らかの工夫が不可欠になります。教員が疲弊することになっては、続くものも続きません。
また、生徒には事前説明、出題基準、採点基準をある程度示す必要もあるでしょう。課題山積になりそうです。

ただ、考えることは自由なので、これらの条件をクリアしたとして、どんな形になるのか想像してみました。持ち込みを認めるのは教師が用意したA4用紙1枚のみとします。その範囲内であれば、生徒は授業でインプットした情報を書き込むことができます。A4を1枚というところがポイントで情報を取捨選択し、自分なりに編集し、情報を引き出す工夫が求められます。授業内容をきちんと把握していなければ、こうしたことは難しいでしょう。生徒に関わる社会問題を主題として、授業で扱った基本的な知識を活用しながら解答していくような試験のイメージでしょうか。試験内容は論述式が中心となるはずなので、ルーブリックは欠かせません。それを事前に生徒に示すことで採点基準の問題はある程度、クリアできるかもしれません。
ただし、本校であれば高校1年生は350名以上、それを3人で分担するとしたら一人あたり100名以上の論述答案を採点しなければなりません。
ここをクリアできないと、大学入学共通テストの記述式見送りと同じ結果が待っているかもしれません。ん~、続きはもう少し勉強してまとめてみたいと思います。今日はここまでで終わりにします!こんな試験をしています、こんな評価をしています、こんなアイディアがありますetc.があれば、コメントいただけると嬉しいです。長文を読んでいただき、ありがとうございました。


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