私か私以外か。シンゲンという生き方。
※タイトルも写真もローランド様のオマージュです
①改めて自己紹介させてください!
皆さんはじめまして。竹村信彦(タケムラ シンゲン)です。
年齢は33歳。
現在、長野県池田町にある長福寺の住職をしています。
ちなみに、このお寺は曹洞宗という宗派の寺院です。
「何歳から住職になれるの?」
とよく聞かれますが、住職に年齢制限はありません。
私の場合、30歳の時に住職に就任し4年目を迎えました。
周りのお寺の副住職さんよりも年下の新米住職ですが、よろしくお願いします。
正直、周りの方から見ると私は「変わった住職」に映っているのではないかと思います。笑
おそらく、原因はその活動内容。
現在、私は長福寺の住職以外にも、
坐禅と茶話会のイベント「zen café」主催、
「シンゲンと毎日坐禅会」をインスタとYouTubeでライブ配信、
そしてDJ坊主としてあづみ野エフエムのラジオパーソナリティーを務めています。
お寺だけでなく街中やオンライン上で坐禅をし、ラジオに出演する。
「変わった住職」と言われても仕方ありません。
しかし、これには理由があります。
就任以来、私はあることををテーマに活動してきたからです。それは、
「出かける住職」
なんだか矛盾した言葉ですが。笑
なるべく沢山の方に坐禅(仏教)に親しんでいただけるよう、お寺を飛び出し活動することを心がけてきたのです。
お寺にいない住職。
そんな「変わった住職」が、私シンゲンです。
②なぜお坊さんになったの?
「実家はお寺ですか?」
とよく聞かれます。
確かにお寺出身のお坊さんは沢山いますが、私はお寺ではなく一般家庭で生まれ育ちました。
実家は、長野県松川町のリンゴ農家です。
正確にはリンゴ以外にも、市田柿やお米も作っています。
ちなみに、松川村と勘違いされがちですが、町出身のTOWN BOYですのでご注意ください。笑
農家出身のお坊さん。
結構なレアキャラです。
そんなレアキャラな私がなぜ出家をしたのか。
それは「少しでも人の役に立って死んでいきたい」と願ったからです。
きっかけは、中学3年生の時に直面した曽祖母との死別。
当時、畑に出ている祖父母や共働きの両親に代わって私の面倒を見てくれたのは曽祖母でした。
一つ屋根の下でともに暮らし、家族の中で誰よりも私と時間を共有してくれた大好きな「ひいおばあちゃん」。
そんな曽祖母との別れは、私にこれまで感じたことのない喪失感と悲しみをもたらしました。
何よりも衝撃だったのは、「自分の命にも限りがあるんだ」という死の実感です。
「いつか死ぬのに、なぜ生きるのか?」
それ以来、自分が生きる意味は何だろうかと考え続けました。
とはいえ、これだけ大きなテーマです。中学生の私にはすぐに答えは出せません。
モヤモヤのなか月日は流れ、曽祖母の四十九日法要の日。
納骨のため、実家の裏にあるお墓に移動した時のこと、そこにある墓石の数に圧倒されてしまいました。
「こんなにお墓があったっけ?」
もちろん、何度もお参りをし見慣れたはずの墓石です。
しかし、その中にいるご先祖様の今は亡きその命・生涯に初めて思いを馳せたのです。
20基ほどの墓石のなかにいるご先祖様。
「これだけの数の命が紡がれ、私が生まれたんだ。」
曽祖母との死別、そしてお墓参りを通して改めて自分の命の重みを実感したのです。
そして、その時
「生きることに理由なんてないのでは?」
と強く感じました。
「生きる意味なんて分からなくても、これだけ沢山のご先祖様のお陰で生まれてきたことは無条件に尊いことなんじゃないか」と。
それよりも大切なのは、
「いつか死ぬのに、なぜ生きるのか?」
ではなく
「いつか死ぬまで、どう生きるのか?」
ではないのか。
そう考えた時、私は「少しでも人の役に立って死んでいきたい」と決心したのです。
一人でもその人に寄り添い笑ってもらえたら、こんなに幸せな人生はないのではないか。
そのために、人と関わり喜んでもらえる人間になれるよう、出家し修行する道を選びました。
まだまだ道半ばですが、こうして高校生の時に出家し、福井県にある永平寺で修行をした後、現在のレア住職となったのです。
③今後の夢は?何を目指しているか。
これまで一貫して私が大切にしてきた目標があります。
それは、「居場所づくり」
家や学校、職場以外の第三の落ち着く居場所を作りたい!
そんな想いで、これまで新しい企画をスタートさせてきました。
居場所とは建物ではなく、心穏やかになれる空間のこと。
そして、そのような空間は場所が作るものではなく、人間が生み出すものであると私は考えています。
温かい心・言葉で寄り添う人間の周りに居場所は作られる。
だからこそ、リアルな場だけでなくバーチャルな繋がりであっても、居場所づくりに結びつくのではないかと考え活動してきました。
壮大すぎる夢ではありますが、私と関わった方が少しでも安心して頂けるような、温もりのある人間(お坊さん)を目指し努力していきたいと思います。
サッカー界のスパースター、リオネル・メッシ選手が発したこんな言葉があります。
「努力すれば報われる?そうじゃないだろ。報われるまで努力するんだ」
努力を積み重ね、様々な功績を残してきた選手だけに説得力がありますね。
弱い自分に流されがちな私には、特に胸に響く言葉です。
仏教では、努力のことを精進と言います。
この精進という言葉には、「継続する・習慣化する」という意味があります。
つまり、ただ一度頑張るだけで終わらせるのではなく、目標達成まで毎日継続して取り組んで行くことこそ重要なのです。
居場所づくりという目標も、途切れてしまっては意味がありません。
「長福寺」、「シンゲンと毎日坐禅会」、「zen café」、「ラジオ」という私にとっての居場所を継続できるよう、これからも精進していきたいと思います!