博物館漫画の製作はとても時間が掛かります
現在、博物館(資料館)の資料整理4コマ漫画『ただいま収蔵品整理中!』シリーズを製作しています。
現在は年4回、約3ヶ月間隔で行われる同人誌即売会コミティアで新作を発表してますが、大体10P程度のコピー誌です。
※年1回程度に、コピー誌をまとめたオフセット本を発行しています。
博物館漫画の製作はとても時間が掛かります。
理由は、作中で扱う資料を調べるからです。
資料は同じ名称でも、地域によって形状が微妙に異なります。
それらをきちんと描写しなければなりません。
例えば、鎌です。
鎌は草刈など、日常生活にも馴染みがありますが、様々な特徴と形状があります。
まず、鎌は刃鎌と鋸鎌(ノコギリガマ)に分類されます。
そして刃の形状から、細刃型、広刃型、
刃の厚みから、薄物、中厚物、厚物に分類されます。
さらに地域(使用地、産地)によって特徴・名称が異なります。
伊賀型、三日月型、津山型、伯州型、松原型、加世田型、土佐型、久留里型、信州型、庄内型、米沢型、羽生型、表鋼広型(南部型)、元広型(津軽型)、大幅広(奥羽型)、昆布狩鎌などがあります。
『ただいま収蔵品整理中!Vol.2』で扱った鎌は、信州型です。
本作品で扱った際、当初は写真などを見て描いていましたが、刃の角度の描写が難しく、別の型に見えてしまうため、作画が難航しました。
知人の学芸員が信州鎌を所有していたため、それを借りて、様々な角度で確認しながら描きました。
『ただいま収蔵品整理中!』シリーズは、とても有難いことに、イベント、通販、DLなどによって、多くの博物館関係の方々が読んでくださり、感想をいただいたりしています。
学芸員は優れた研究者です。
その学芸員を満足させる作品を心掛け、日々製作しています。
そのため、新刊を読んでくださる方にはページ数的には物足りないと感じてしまうかもしれません。
ですが、博物館に携わる者として、細かい描写については、きちんと表現したいと考えています。
ゆっくりではありますが、作品製作は続けていきたいと思いますので、気長にお待ちいただければ幸いです。
【参考文献】
大島暁雄・佐藤良博・松崎憲三・宮内正勝・宮田登編 一九八三 『図説民俗探訪事典』 山川出版社
『ただいま収蔵品整理中!』シリーズは以下オンラインストアで頒布中です。