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こえられない壁。

「あんたは、元気で明るくて、いいね。」

私に対して、そんなことを言ってくる人がいる。

プラスの意味なんだと思うんだけれど、

「あ、はい、、え~~と、あ、ありがとうございます。」

私はいつも複雑な気持ちになる。

元気で明るい人ぶっているのは、大人しくて暗かったころの私に対するマイナスイメージが憑りついて離れないからだ。

その上、スナックアルバイトの経験がそのイメージを更に拗らせている。

男ウケのためには一に笑顔、二に笑顔、三四に笑顔と飲みっぷりで取り繕ってきた。

人見知りを隠すために、自分から笑顔で話しかける技を覚え、男の人たちともそれなりに付き合ってみたりした。

その人たちの中に一人、私が頑張って作り上げたイメージのせいなのか、会う回数が増えれば増えるほど、気持ちがすれ違っていく相手がいた。

相手としては、私と回数を重ねれば重ねるほど、今までよりも深い付き合いができると思っていたのだと思う。

だけど、いつまでたっても私の本心が見えなくて、愛されているのかなんなのか、不安な気持ちにさせたみたい。

ある日を境に突然、距離を詰められる、警戒心の塊である私の気持ちにもなってみろと思っているんだけど。

優しく愛を囁いていた相手は、だんだん、「maiのことが好きなんだけど。俺は悪いと思っていないんだけど。」と、そんな前置きをしながら、私の性格について攻撃するようになった。

会うたびに、私の心にひっかかるような話をされ、「またね。」と別れるたびに、話した内容を何度も何度も思い出しては憂鬱な気持ちになっていた。

思い出すだけではらわたが煮えくり返りそうになるんだけど、あの頃はなぜか離れられないと固執していたのが不思議だ。

基本的に隙しか見せていなかったくせに、突然壁を作り始めた私が悪かったのかもしれないから、とりあえず止まない文句は自分の胸の内に留めておく。

⋆ ⋆ ⋆ ⋆

「イメージだけで人にレッテルを貼り付ける嫌な奴だったんだよ。」と、大声で言い訳して回りたい。

ここまで読んでくださって、 ありがとうございます。 mai〓