インタビューで「はい、そうです」は厳禁?
今日はインタビュー取材の話をします(@takasho1222)。記者時代、取材とインタビューはセットで考えるほど、インタビューの機会は多かったです。
でもこのインタビュー…相手から「はい」や「はい、そうです」と言われることがあります。一見するとなんの問題もないやりとりです。でも、これ、質問している記者からすると「ああ、しまった」と思うんです。
取材を受けた企業の広報や担当者が、取材後に「記者とのやりとりはスムーズだったけど、伝えるべきこと、きちんと伝わったかな?」というもやもや感も、ここに起因していると感じます。
では、簡単に話をしていきます。
なぜ「はい、そうです」がダメなのか?
まず結論を述べると、放送で使えないからです。厳密に言うと、まったく使えないことはないのですが、基本的に編集でカットします。
そもそもなぜ、インタビューを使用するかというと、その方の考えを「生の声」で聞きたいからです。
例で示します。「A社が始めた福利厚生を提供するサービスが、東京都に導入され、注目を集めている」というニュースです。次のニュースを比較しましょう。
①は企業側の想いが少しでも生の声として伝わってきます。②は、質問者が話過ぎてしまって、担当者は肯定していることしか伝わりませんよね。これだと、そもそもインタビューのやりとりに尺をとる必要がありません。なので編集でがっつり落とします。
でも、②は、現場で取材しているときに、よくありがちなパターンなんです。
(少し補足すると、インタビュー中にこうした質問をすることはあります。でもそれは、あくまでも一時的な内容確認のためで、「放送で使うつもりがない」前提で聞いています。なので、このやりとりがずっと続くようであれば、質問者そのものが内容に自信を持ててないことがあります)
はい、そうです。と答えてしまう質問を投げかける記者の心理
ではなぜ、放送に使えない質問を記者がしてしまうのか、理由を挙げていきます。
取材相手に勉強して取材に臨んでいることを過度に伝えようとする
質問者が自分の考えと同じ方向の答えを求めようとする
インタビュー相手に否定されたくない(嫌われたくない)
先ほど述べた「内容確認のため」
大きくこんな形で分かれます。
いままで何度も取材を受けてきた人であれば、「ああ、確かにそんな意図で質問してきてたな」と感じる点があると思います。もう取材慣れをしている企業や担当者であれば、こうした記者心理を理解し、上手に自分たちが伝えるべきことを伝えているなあ、と思いますが、それは体感で全体の2~3割ほどです。大半は、互いに核心をついていないままインタビューが進んでしまうことがあります。
私が意識していたこと
そこで、私が意識していたことを紹介します。
内容を分かっているからこそ、相手に話してもらう
「まだ知らない人に届ける(伝える)とすれば」と一言付け足す
あえて、相手の考えと異なる考えと問う
無言を我慢する
上2つは、相手の考えをより生の言葉で話してもらうため、オーソドックスな方法。下2つは、記者の先輩方から学んだことです。
あえて、相手の考えと異なる考えを問う、これは多用はできませんが、相手の思いを語ってもらう機会になり得ます。
「Aといわれますが、Bという意見もあります。これについてどう考えますか」と聞かれると、しっかり答えようという心理が働き、その説明のなかで「思い」や「方針」「背景」などが、強い(しっかりとした)言葉で語られ、そうした言葉のほうが、視聴者にとってはストレートに伝わるからです。
時間になりました。今日はここまで。
本日も付き合って頂いた方、ありがとうございました。またよろしくお願いします。