才能開花の境界線
今日も人の可能性を開く可能性についてのエピソードを記しておこうと思う。
先日、世界の音楽会の大御所であるスティービーワンダーがその才能を開花させたエピソードを紹介した。
今回のエピソードはスティービーワンダーの例と似たところもあるのだが、教育的観点からも、人生面においても大事なことだと思うので、もうひとつケースを紹介したい。
人がなにゆえ、周りの環境に影響によって自らのパフォーマンスを左右しているのか、という話だ。
今回は海外のとある学校の講師が体験した話
時は新学年の生徒の入学が迫ろうとしている時期のこと
その講師は新しく入学してくるとても"特別な生徒”を担当することになり、情熱を燃やしていた。
その生徒が何が特別なのかというとその生徒はみんな前の学校では全員主席クラス並みの好成績を残し、
学習意欲もあり、授業を受ける態度も非常に良かったという前評判を事前に校長先生から伺っていたのである。
今までそのようなそのような優秀な生徒を担当することがなかった講師は高いモチベーションを持ち、新学期が始まる前からその生徒を迎え入れる為の準備を入念に進めた。
テキストを見直し、年間を通しての細かなプログラムを計画、さらに生徒の将来の希望する進路も考慮してそれにあった道筋を示し、胸を張って社会へ送り出すところまでのイメージをしながら日々を過ごした。
そして、待ちにまった新学期…
例の”特別な生徒達”が入学し、彼らは新しい環境下においても講師の期待通りの成績を出すことが出来たのか?
結果は前評判と同じく、期待通り以上の結果だった。
生徒たちはとても素晴らしい成績を残し、以前の学校よりも成績を伸ばした生徒もいるほどでその講師はとても誇らしかった。
とても順風満帆にスタートしたかと思えた新学年の生徒たち
しかし、新学期を迎え入れようとしていた頃、その講師は校長先生から内密な呼び出しを受けました。
いったい何があったのかと話を伺うと、とても衝撃的な話を受けるのです。
なんと、今年の入学の際の学校側の成績データ処理に手違いが発覚し、
実は講師が担当した生徒は以前の学校で、優秀な成績を残していた生徒ではなかったということが判明したのだ。
さらに、驚くべきことに
どの生徒も以前の学校ではとても成績が悪く、学習意欲も低い生徒ばかりだったというのです。
当然この知らせには講師は大きな衝撃を受けます。
なぜなら今現在、彼らは今優秀な成績を残しているし、今までの生徒達の様子を思い返してみても彼らにそのような過去があったとは、とても思えなかったのです。
新学期が始まり、どうしても腑に落ちなかった講師は生徒に直接聞いてみることにしました。
「前の学校では成績にコンプレックスがあったようだが、どうして今はそんなに優秀な成績を残しているだ?」と
そうするとほとんどの生徒がこう答えたのです。
【先生は、私たちをとても優秀な生徒をみるように、敬意を持って指導してくれたから】というのです。
その答えを聞くと、講師はまた衝撃を受けました。
生徒たちの話によると、以前の学校では成績が悪いというレッテルを張られ、自分がはぐれ者のように扱われていたから、とても勉強をしようという気持ちになれなかったと
しかし、今の先生は自分達に期待してくれているし、その想いに応えようと思った。
それが、彼らが落ちこぼれから秀才へと生まれ変わった理由であった。
その後も生徒達が成績を落とすこともなく、卒業していった。
かつてその講師が想い描いていたイメージのように。
このエピソードを通じて、なにが言いたいのかというと
人がその才能やパフォーマンスをどれだけ発揮できるのかは
まわりの影響がとてつもなく大きいということだ。
もし、誰かに教える立場になるのであれば
なによりも大事なのは
その人の可能性を信じることだ。
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