依頼されたプロジェクト・タスクの「主体」を考える
こんにちは、高倉と申します!
ベンチャー企業でDX推進部に所属し、日々活動をしています。
今回はプロジェクト・タスクを実行するときに意識している「主体」という考えを共有します。
みなさまの、普段の行動を変える一助となれば幸いです。
■はじめに
プロジェクト・タスクを進めるとき、よく耳にする言葉があります。それは「主体的」や「オーナーシップ」です。
日々の業務で、これらの言葉は以下のように使われます。
主体的にプロジェクトへ取り組もう
オーナーシップを持ってタスクを実行しよう
しかし、これらの表現に課題あると感じています。
それは、オーナーシップは与えられた範囲での責任を表し、主体的は個人の意思による行動を表しますが、どちらも結果への責任や他者との協働の在り方については具体性に欠けます。
そのため、実務では具体的な行動指針として機能しにくい場合があります。
私自身、依頼を受ける立場として仕事をする中で、違和感を覚えていました。
■「主体」を意識するきっかけ
依頼を受ける立場での業務において、以前の私には次のような感情がありました。
確認質問に対して返答がない事へのいらだち
後出しで要件を伝えられた時の徒労感
そんな中、上司との1on1で投げかけられた一つの問いが、私の考え方を変えるきっかけとなりました。
プロジェクト・タスクの「主体」は、何だろうか?
辞書で「主体」の意味を調べると
依頼された立場であっても、プロジェクトやタスクの中心は私たちにもあると考える事ができます。
つまり、「主体」は依頼者だけでなく、実行者にもあるのです。
冒頭の感情は、まさに「依頼された側」という客体的な立場に縛られていたことから生まれていました。
この気づきから、次のような考えに至りました。
この考え方は、特にBizOpsという立場で働く中で、その重要性をより強く実感することになりました。
■BizOpsの立ち位置
BizOpsの特徴は、部門・部署を横断した立場になりやすい事が挙げられます。
そのため、時に改善を提案する立場となり、時に依頼を受けて実行する立場となる、両面性を持った役割です。
私たちの部門では、2名体制で様々な部門に関わっていおり、二つの立場を常に行き来しています。
日々の業務では、以下のようなプロジェクト・タスクに関わります。
【主導的な立場として】
この業務フローは非効率です。KPIを設定して改善を進めましょう
このシステムの使い勝手が悪いので、すぐに修正します
【依頼を受ける立場として】
この問題への対応をお願いできますか
中長期的な仕組みづくりを担当していただけますか
一見すると、改善を提案する立場が「主体」で、依頼を受ける立場が「客体」のように見えます。
しかし、実際の業務では、この境界線は明確ではありません。
提案する側も依頼される側も、プロジェクトの成否を左右する重要な存在です。
このように様々な立場や形態が混在する私たちの業務を理解するために、プロジェクトやタスクの性質を整理してみました。
■プロジェクト・タスクの分類
従来は「自発的/外発的」という発生源での整理が一般的でした。
しかし、先ほどの「主体」という考え方を踏まえると、どのような立場であっても「主体」として関われるという視点です。
一般的に、自発的な業務は「主体的」で、依頼された業務は「客体的」と捉えられがちです。
しかし、実際には全ての業務において「主体」となることができます。
【自発的な業務での主体】 自ら課題を見出し、実行する
例:「行動変化を促すため、KPIの設定から検証まで一貫して取り組む」
主体としての取り組み:
・現状の課題を数値やデータで明確化する
・関係者の意見を収集し、本質的な問題を特定する
・実現可能な解決策を具体的に提示する
【依頼された業務】 他者から依頼を受けるケース
例:「システムの改善依頼を受ける」
主体としての取り組み:
・依頼の背景にある本質的な課題を理解する
・より良い解決策を提案する
・実装後の効果測定まで考える
結局のところ、「主体」とは立場ではなく、その物事への関わり方を示しています。
どのような状況であっても、私たちには「主体」としての関わり方が可能なだと考えています。
では、この「全ての立場で主体となる」という考え方は、実際の業務にどのような変化をもたらすのでしょうか。
■「主体」を意識して良かったこと
「主体」という考え方を意識することで、特に従来「客体的」と捉えられがちな立場での業務において、大きな変化が生まれました。
具体的には、以下の3つの変化を実感しています:
感情のコントロール
「依頼された側」という立場から、返答の遅れにいらだちを感じたり、後出しの要件に徒労感を覚えていましたが、これらの状況から質問内容が悪かったのでは? より良い結果となるチャンスと捉えられるようになりました。問題への理解
目の前の要件だけでなく、その背景にある本質的な課題を探るようになり、実装後の効果測定・運用まで視野に入れた提案ができるようになってきました。プロジェクト全体を見渡す視点
自分の作業範囲に限定せず、プロジェクト全体の成功を考えるようになりました。
このように、従来「客体的」と思われていた立場であっても、「主体」として関わることで、プロジェクト・タスクの質と成果を大きく向上させることができました。
■最後に
「主体」という考え方は、プロジェクトやタスクへの向き合い方を変える重要な要素です。
どのような状況でも、私たちは「主体」として関わることができるのです。
「依頼された側」という立場は、決して受動的である必要はありません。
むしろ、その立場だからこそできる提案や、その視点だからこそ気づける改善点があります。
皆さんの業務においても、自分が「客体的な立場」だと感じる場面があるかもしれません。
そんなとき、「この状況で私にできる主体的な関わりは何か」と考えてみてください。きっと、新しい可能性が見えてくるはずです。
少しでもお役に立てれば幸いです。
PS.「主体」について、時間をかけて議論に付き合っていただいた、上司に最大の感謝を!