余計なひとことで理不尽
「なんでツナ缶、買ってこなかったッッッッ」
どうして娘にこんなに激しく罵られないといけないのか。理不尽、悔しい。
きっかけは娘に食べたい物を聞いたことでした。
「夕飯、なんか食べたいものある?」
「ツナうどん」
ツナうどん?
イメージが湧きません。
昨夜、寝る直前に猛烈にお腹が空いた気がしてコンビニで小さな弁当を買ってきました。最近は寝る直前にはなるべく食べないようにしているのですが、昨日は珍しく腹が減ってしょうがなかったのです。
そのあと、一時間ぐらい経ってから横になりました。なんだか猛烈にだるいのです。それなのに眠れない。娘は何度かトイレに起きてきました。いつもなら娘の足音で眠れないのですが、昨夜はそれ以上にだるさで眠れません。
深夜に2時ぐらいから猛烈な吐き気がやってきました。今にもこみ上げてきそうです。胃酸が逆流しそう。とにかく胃薬を飲みました。これで収まってくれたらという願いも虚しく、そのあと4時ぐらいまで断続的に吐き気の波がやってきます。ツライ。4時過ぎてようやく就寝。休みでよかった。
朝は目覚ましで起きてから二度寝です。けっこう寝ました。11時ぐらいに娘がドスドスとトイレに起きてきました。薬飲ませないと。
それにしてもダルい。吐き気も収まったようなそうでもないような。関節が痛む気もします。
娘に薬を飲ませてからコーヒーを用意します。面倒なのでインスタントです。シナモンパウダーをひとふり。美味しいと言って飲んでいます。朝食は要らないそうです。
遅めの朝食は肉の代わりに竹輪を使ってフライパンでご飯と混ぜてしまったガパオです。レタスをたっぷり乗せました。いちおう部屋でひとりでノンストップで喋り続ける娘に食べるか聞いてみます。ガン無視です。返事をするとかしないとかではなく、ノンストップの独り言を止めもしません。なので、私が食べました。まあ、ありかな。
朝から洗濯機を回しています。娘の着替えなど。最近は匂いがひどいので「おいそぎ」モードで2回回します。2回目は洗剤少なめです。
娘が起きてきて何か食べたいと言います。蕎麦でどうかと聞くといいと言います。しかし、そのあと切羽詰まった表情で早口にこんなことを言います。
「麺じゃなく蕎麦にして」
はあ?
なに言ってんのか、わけわかんねえよ。
娘の躁状態はこんな感じです。普段はなにも考えられないのに、少しだけなにか考えられるのです。しかし、その考えは妄想やよく分かっていない思い込みなどの塊です。なので、よくわからないことを言い出します。
「蕎麦も麺だよ」
「だから麺じゃなくて蕎麦にして」
ダメな状態だと思うのでそれ以上は何も言いません。本人の中では何かがつながっているのでしょう。私には理解できませんが。
蕎麦を茹でていると娘が「さっきの、麺じゃなくてざる蕎麦だった。ざる蕎麦にして」と言いに来ました。
それもよくわからないけどざる蕎麦ね、最初からそのつもりですよ。
娘は蕎麦湯が好きです。今日は茹でたからいくらでも蕎麦湯飲めるよ~。
「蕎麦湯屋ってあったら行く? 蕎麦食べないで蕎麦湯だけ飲むお店」
そんな話を聞いてみたらうっすら笑っていました。蕎麦湯で幸せになるタイプのようです。
キッチンに洗い物が溜まる一方です。ダルいし頭も喉も痛い。やる気はまったく出てこない。
洗濯機を乾燥にセットしてから寝ました。3時間ぐらい。その間もダルさと吐き気と関節の痛み。ツライ。
起きたら乾燥は終了していました。洗濯乾燥機、本当に助かっています。
洗濯物を畳んでしばらくしたところで娘が起きてきました。そこで夕飯に何を食べたいのか聞いたのです。
「ツナうどんって、あったかいうどんにツナ乗せるの? 気持ち悪くない?」
ダルさのせいでしょうか、私も頭が回っていません。私の中のツナうどんのイメージはかけうどんにツナを乗せた感じ。まずそう。
「そうじゃなくて」
娘の中にはイメージがあるようです。
そのイメージは伝わっては来ませんが、私のほうで先に気が付きました。
「ぶっかけうどんにツナ乗せるの?」
「そう」
そうだったのか。了解です。
本当は買い物にも行きたくなかったのですが、うどんを買ってこないといけません。ツナ缶はあったはずだな。ワカメとかカイワレも乗せるか。あと、温泉玉子だな。
いつものスーパーまでが遠く感じられます。マジツライって。
飲み物なども買いました。今日はもう買い物に出たくないな。
家では娘が待ち構えていました。買ってきたものをいちいちチェックします。チェックしたからなんだってんだよ、面倒くせえなあ。
「ツナ缶は?」
「ツナ缶は家にあるから」
「どこ?」
「いつもの引き出しだよ」
身体を動かすのもツライです。
引き出しの中に、あると思っていたツナ缶はありませんでした。この前使ったのが最後だったのか。ああ、今、買っておけばよかった。
で、ここから娘が激昂です。
「今すぐ買ってこいッッ」
娘には情けとか容赦とかはありません。あと「いいよいいよ~」みたいのもありません。調子がいい時は「しょうがないね~」はあります。しかし今日は調子が悪いようです。こういう時は本当に血も涙もないです。
「ごめんね。パパ、ダルいから、今日はツナ無しで温泉玉子とワカメでいい?」
精一杯抵抗してみました。
「今すぐツナ缶買ってこいッ」
多分、これ以上こっちが粘ると爆発します。
諦めました。
ちょうど漂白用のオキシドールを切らしています。ドラッグストアでツナ缶と一緒に買ってきましょう。
少しふらふらしながらドラッグストアで買い物です。ちいかわとアリナミンのタイアップが気になります。今日ダルいから買っちゃおう。
家に帰って温玉ツナうどんを用意しました。娘、美味しいと言っていました。そりゃ美味しくなるように作ってるんだから美味しいに決まってるよ。
その時点でようやく気がついて、慌ててイブプロフェンを飲みました。考えてみるとダルいだけでなく熱っぽい感じもずっとあったのです。
効いたら喉の痛みも治まりました。
もっと早めに飲んでおけばよかった。
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