市民と事業者が対話でまちのビジョンを創る|市役所は最大の応援団に【芦屋市の2024年③】
年末の3日間、今年市役所が挑戦した取組の中で、ぜひ皆さまに知っていただきたい3つを紹介しています。
最終回の今日は、まちのビジョン。芦屋のとある地域、まちの未来ビジョンを作っているのは、市民・事業者の皆さまです。対話を通じてブランディングエリアを活性化するための、エリアプラットフォームの取組をご紹介します。
ブランディングエリアとは…?
JR芦屋駅、国道2号から阪神芦屋駅・鳴尾御影線までの個性的なお店がゆるやかに集まる地区。そして芦屋市の中心部を流れる芦屋川沿いの地区。JR芦屋駅南地区の再開発事業にあわせ、官民が連携して活性化に取組もうと設定したのが、ブランディングエリアです。
中でも、茶屋さくら通りの周辺地域では、一歩進んだ取組が進んでいます。道路空間を利活用し、人々が滞留する仕掛けを作り、賑わいを創出する社会実験です。
「地域と一緒にビジョンを定める」まちづくり
実はこのエリアでは、従来のように市役所がビジョンを定め、理解を求めようと地域に説明に行くやり方をしていません。ビジョンを定める時点から地域を巻き込み、むしろ地域の皆さまに主体的に進めていただけるよう、取組んでいます。
「市役所が計画を決めて、地域へ理解を求める」やり方から、「地域と一緒にビジョンを定めて、実現に移す」まちづくりへの変革です。
この取組を主催しているのは、官民連携で未来のまちづくりを進める「あしやエリアプラットフォーム」。これまでも、地域が主体となって「茶屋七夕フェスタ」「茶屋秋まつり」といった企画が開催されてきました。自治会・事業者会の皆さまが時間をかけて議論してくださっているからこそ、新たな取組が着実に進んでいるのだと思います。地元の皆さまに、改めて感謝申し上げます。
このプラットフォーム。定例の集まりが毎月のように開催されています。ワールドカフェ的な雰囲気で、地元の市民や商店だけでなく、市職員、芦屋にゆかりのある大手民間企業、大学生など、幅広い世代が参加中。私が参加した会も、みんなが小さいグループに分かれて、好きな街について語り合うとても温かい会でした。
関西テレビの「兵動大樹の今昔さんぽ」でも取り上げていただきました(17:02頃〜)。
ちなみにこの番組、芦屋市の今と昔をとっても素敵に切り取ってくださっています。ぜひ動画全体もご覧ください!
地域がつくるからこそ、うまくいく
地域がビジョンをつくるのって、時間がかかりそう。意見がまとまらずうまくいかないのでは。そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。けれど、地域がビジョンをつくるからこそ、うまくいく。取組を通じて、私はそう確信しています。
例えば、今年の3月に実施した歩行者天国。実は、歩行者天国は地域の理解を得るのが難しい事業の一つです。事業者は客が増えそう、と賛成してくれても、住民は車が通れないと不便だ、と反対する。こんな状況は、日本を見渡すと至るところで起きています。
でも、今回の歩行者天国は、地域から上がってきた提案でした。自治会と商店会が一緒になって提案してくださったからこそ、みんなに応援された取組になりました。これからのビジョンづくり、さらにどんな提案が生まれるか、楽しみにしています。
こどもが主演、おとなは助演
エリアプラットフォームの取組で、私が感動したのは、関わっている方々のこんな言葉でした(大意)。
長い目で見る必要があるまちづくりにおいて、こどもの声を聴くことの重要性、そしておとなも関わり続けることの重要性をうまく表した言葉だなと思います。エリアプラットフォームが関わる様々な取組に、どこか無邪気に楽しいことをやろう!という雰囲気を感じるのは、この精神があるからかもしれません。
大きな成功体験、茶屋七夕フェスタ
私が就任後、この地域の取組に初めて参加したのは、昨年の7月。茶屋七夕フェスタでした。茶屋之町と周辺エリアの魅力発信、茶屋之町の歴史を未来につなぐことをコンセプトに、茶屋さくら通り協議会の皆さまが実施してくださったイベントです。
桜が咲かなくなった老木に、願いを込めて桜の形をした七夕飾りを飾ろうという企画。地域内外から多くの方々が参加してくださりました。
大学生の取組は、絵本として形に
イベントでは、武庫川女子大学の学生によって作られた、茶屋之町をモデルにした絵本にまつわるワークショップも。その後、完成した絵本は市内各地にご寄贈いただきました。
芦屋市の広報番組でも今年3月に特集「さくらまちとミライ」を放映。絵本に込められた学生と地元の方々の熱い思い、ぜひご覧ください▶
今振り返ると、この大きな成功体験で、地元の皆さまも市役所も、地域がつくることの意義と楽しさを実感したのかもしれません。
市役所は、プロジェクトチームで支える
市民主体の取組の「最大の応援団」でありたい市役所。
実は市役所の側、メインでこの企画を支えているのは、プロジェクトチームです。課の縦割りや人事異動を乗り越えて、まちに主体的に関わりたいという職員が支えています。今秋の「みんなの秋まつり」でも、朝早くから手伝いに来てくれた職員が多くいたこと、とても嬉しかったです。
市民と市役所職員は、なぜか対立関係に位置づけられることがあります。市民の希望を、市役所は叶えてくれない、といったふうに。
でも、市民も職員も、芦屋を良くしたい!という想いは同じはず。だとすると、市民・市役所のどちらの側にも「関わりしろ」をうまく作れれば、一緒にまちを良くすることだってできるはずだと信じています。今回の取組が、その第一歩になることを期待しています。
地元の皆さまの地元愛があるからこそ
今回、2年間の取組を振り返り、改めて思うのは地元愛の大きさ。地元の皆さまの、地元が大好きだという想いがあるからこそ、この取組は実現しているんだということです。
例えば茶屋之町の自治会では、地元の歴史を後世につなごうと、魅力発信のための動画を制作されています。「わたしたちの茶屋さくら通り」(約3分)「私たちの茶屋之町の記憶」(約20分)のいずれも、茶屋之町の方々の地元愛が伝わる作品です。ぜひご覧ください▶
まちづくりは、ずっと長く残るもの。だから面白いし、だからぜひ地元の方々にも関わっていただきたい。自分の住んでいる街が、自分のアイデアと行動で変わっていく姿を見るのは、きっと本当に楽しいんだろうなと、関わってくださっている市民の方々の様子を見て実感しています。
でも同時に、地元愛があるからこそ成り立っている取組でもあります。「こうなったらいいな」から一歩進んで、「自分たちでこう動いてみよう」があるからこそ、多くの関係者が主体的に巻き込まれているのだと思います。
これこそ市民が主体のまちづくりなんだと、私もとても勉強になっています。改めて、地元の皆さま、本当にありがとうございます。
私たちはこれからも市民が主体のまちづくりを、対話を通じて実現していきます。
市民のあなた、ぜひ来年、少しの時間でも関わっていただけると嬉しいです!私たちもできるだけ関わりしろを用意してお待ちしています。一緒に芦屋市をさらに良くできること、楽しみにしています。