海外のクリエイターズコミュニティーへ飛びこもう。ChatGPTを使って、堂々と。
自分の創作を世界に発信して海外のフォロワーやクリエイターたちと交わりたい。あわよくば仕事につなげたい。でも英語力が……。
と尻込みしているあなたに、私とChatGPTの楽しい日々を紹介します。よかったら参考にしてください。
AIの知識もスキルも不要ですよ。ChatGPTに無料アカウントを作って、日本語で何でも「相談」する。ただそれだけです。
ChatGPTはバイリンガルな友だち
私はSpoonflowerでChatGPTをこんな風に活用しています。
Spoonflowerは300万人のユーザーと3万人のデザイナーをかかえる世界最大のテキスタイルデザインコミュニティー。洋服や小物を手作りするのが好きな女性たちがユーザーの大半です。
裁縫やファッションに興味ゼロの私がなぜSpoonflowerに参加しているかというと、隔週で行われるデザインコンテストがすごく楽しいから。出される課題に沿って1500人近い人が思い思いのデザインを競い合います。上位に選ばれれば特典ももらえるし、300万人のユーザーの目に留まりやすくなるので自分のデザインした布がよく売れます。
「パーティー会場に貼る壁紙をデザインしよう」というお題のコンテストにこのデザインを出しました。
応募作品にはタイトルと短い解説文が必要です。
タイトルは自力で考えましたが、解説文はChatGPTの助けを借りることに。
「70年代風のレトロな色調の虹と花と朝露をイメージした柄を作りました。コンテストのお題は壁紙ですが、この柄ならテーブルクロスにも合いそうです。以上を踏まえて作品の短い解説文を作ってください」
で、数秒後に出てきた英文がこちら:
ChatGPTは創作活動に伴う些末な作業を代行してくれる便利なアシスタント。とくに英語で重宝してます。
Spoonflowerは今こんなコンテストをやっています。
Cottagecore? 耳慣れない単語だな。
そんな時はChatGPTにすぐ質問。
なるほど。日本人の言う「田舎風」とはニュアンスが少し違うようですね。
目で見て一緒に考えてくれる友だち
さて、ここからがChatGPTの真骨頂。
下の絵柄は私が過去に作ったデザインですが「もしこれを田舎風ハロウィンのコンテストに出すとしたら」という想定でChatGPTに助言を求めてみました。手順は簡単。ChatGPTに画像をアップして質問を入力するだけ。ChatGPTはそれを「見て」回答してくれるのです。
「Spoonflowerのコンテストにこのデザインを提出しようと思っています。投票するデザイナーの大半がアメリカ人女性なので、彼女たちに受けそうなデザインにしたい。また、今回の課題「Cottagecore Halloween」に合うよう、もっとcottagecoreらしさも足したいです。どうすればデザインを改良できる?」
数秒で長文の回答が来ました。
すごくないですか?
ゴーストの表情が怖くないことまでちゃんと見えているんです。
助言はさらに続きます。
白背景を変えろ。テクスチャを追加しろ。
そして最後は「頑張ってください!」
ストレートな物言い、私は嫌いじゃないです(笑)
Spoonflowerのデザインコンテストの勝者はどこかのお偉い先生が決めるわけでありません。千人以上の参加者が互いに投票し合い、得票数の多さを競います。裁縫好きの大勢の女性が「これ好き!」と思った作品が上位に並ぶわけです。
かたやChatGPTは数十億人の知恵と良識の集合知。
大勢に気に入られそうなデザインへの助言なら得意中の得意でしょう。
SpoonflowerとChatGPTは相性抜群。
悪く言うとChatGPTは無難な助言が多く、Spoonflowerはありがちなモチーフを丁寧に描いたデザインが喜ばれる傾向があるように思います。
私のGhost and Flower、じつは色違いもありまして、お次はこちらの画像をアップしてこんな質問をしてみました。
「黒背景バージョンのほうがよりハロウィーンっぽいですか? Cottagecoreの世界観に近づけてデザインを完成させるなら、白と黒、どっちを選んでブラッシュアップしていけば良いかな?」
さて、ChatGPTはどちらを選んだでしょう。
どうです、おもしろいでしょう?
創作は孤独な作業のはずなのに、近頃はニヤニヤ対話しながら作業している自分にふと気づいてまたニヤニヤしています。
虚言癖とおしゃべり好きが玉に瑕
さて、ここまで読んだらもう分かりますよね。
海外のクリエイターズコミュニティーに参加したいなら、必要なのは語学力だけじゃない。世界を理解し柔軟に向き合おうとする姿勢です。
たとえば海外からの発注を期待しているイラストレーターやデザイナーの場合、お相手の国の文化や宗教によって特別な意味をもつ色づかいやNGのモチーフにも気を使う必要があるでしょう。ChatGPTなら気になることを何でも親切に教えてくれるのでとても便利です。
ただし、注意点が2つ。
1)虚言癖がある
昨年よりもかなり進化はしたものの、ChatGPTは今もたまに嘘をつきます。つい数日前、ハンドメイド市場のEコマースについて調べていて「日本にはどんなWEBサイトがある?」と訊ねたのですが、こんな回答が返ってきました。
CREA Mallなんて聞いたことありません。ググッてみたら埼玉県川越市にある商店街の名前でした。こういう不可解な嘘がしれっと混じってくるのでご注意を。
ChatGPTのサイト画面下にも断り書きが小さく入っています。
AIの助言を盲信しないことも大切です。
2)プライバシー設定を忘れずに
ChatGPTは私たちが書き込む内容を日々学習しながら進化を続けています。ただし、あらかじめ設定しておけば自分のアカウント内でAI学習されるのを拒否できます。設定画面の「すべての人のためにモデルを改善する」を「オフ」に替えておくだけ。デフォルトはオンになっています。
最後に。
ChatGPTの翻訳の出来はまあまあです。去年はまだDeepL(無料のAI翻訳サービス)のほうが上手でしたが、最近はChatGPTもめきめき上達してきた印象。
海外のクリエイターズコミュニティーに参加すると、会員規約もメルマガも自己紹介も作品紹介もみな英語なので面食らいます。でもChatGPTがあれば恐るるに足らず。創作以外の作業時間を大幅に短縮しましょう。
Spoonflowerの女性たちはおしゃべりが大好き。SNSでも活発に交流します。他のデザイナーたちからコメントをもらうとうれしいですが、返信が毎回「Thank you」や「Happy you like it!」だけじゃ能がない。気の利いた返しや丁寧な受け答えをしたい時もChatGPTが役に立ちます。
心優しいバイリンガルな友だち(虚言癖あり)をお供に引き連れて、あなたも海外のクリエイターズコミュニティーに飛びこんでみませんか。
「英語が苦手だから」はもう言い訳にならない時代です。