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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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2024年に観た映画

2021年に始めたその年に観た映画の記録・感想を残すnote。引き続き今年もやります。昨年は映画を観ることもややサボり気味、感想も書かないまま過ぎてしまいました、反省。10代の頃は観た映画の半券を手帳に貼り付けていたりもしたものですが、今はそれもしない代わりにnoteに記録を残すと決めたので、今年はサボらず書いていきたい。観るのももっと積極的に。
基本的には劇場で観たものを。映画は劇場で観たい派。そして邦画多めです。2021年2022年2023年に観た映画の感想もよろしければ。

●1月 『カラオケ行こ!』

野木亜紀子さん脚本と来れば、観ない手はない。加えて綾野剛氏主演だもの。そして実際に観てみたら作品としての面白さと共に、齋藤潤さんという新星が眩しかった。この先いろいろな作品で存在感を示していくんだろうなと容易に想像がつきました。とある評論で「これはあくまでファンタジーである」と語られていました。ヤクザと中学生が交流するという点も勿論だし、あれであの組はどうやって経営的にやってけるんだとか現実的なところを突っ込み始めればキリがない。けれど現実離れしている設定でも、描かれている思春期に関するテーマとかは至極リアル。だからこそ成立するし感動もさせられるのだと思いました。

●1月 『ある閉ざされた雪の山荘で』

前情報無しに観に行ってみた。とても舞台、演劇っぽい作品だと思いました。入れ子構造とか密室な感じとかがそう思わせるのか。実際にその頃舞台でも同タイトルは上演されていたようで。俳優陣誰をとっても遜色ない。個性被らないし見応えもある。魅力的な役者の演技を観ることがこの上ない幸せです。観終えたあと、久々にシナリオを書きたくなりました。

●2月 『PERFECT DAYS』

ヴィム・ヴェンダース監督作品は、おそらく「ミリオンダラー・ホテル(2000)」ぶりかもしれない。2000年は大学に入学し、映画鑑賞に時間を割くようになった頃。当時の私が何を思ったかはもう覚えてないし、正直観たかどうかも確信が持てない。でも四半世紀ぶりにヴィム・ヴェンダース作品を認識できたことがうれしい。もちろん「PERFECT DAYS」そのものも飴玉を口の中で転がすとでも言うべきかスルメをじっくり味わい尽くすとでも言うべきか、ゆっくりと作品の「味」を堪能できるものだった。沁みた。

●2月 『マッチング』

私は猟奇ものと血みどろが苦手。なのにそれをすっかり忘れて観に行ってしまった。猟奇ものって怖いというより気持ち悪くなってしまうから、鑑賞中は「来るぞ来るぞ」とわかりやすくその場面がやってくるのが分かるとそっと薄目でやり過ごしてました。なにより本当の怖さは人の心、愛憎、歪んだ愛情表現。それを役者陣は微細な表情で表していたし、豹変するところも徐々に表現されていて面白かった。輪花の発狂ぶりは見事だったし、吐夢の要所要所の言動にはマスクの下でクスクス笑ってしまった。久々に肩に力が入る鑑賞でした。

●3月 『夜明けのすべて』

半年前に小説を読了済み。映画化されることを知っていて先に読みました。実際に映画を見てみて、なるほどこうやって原作を活かしながら映画は映画として成立させるのかと思いました。映画化が小説を一語一句なぞることもあるだろうし、映画だからこそ変化をつけることもある。勉強になった。どちらも好きだなぁと思った。光石研さんの小さな会社で作業着着て働いている人の役はあまりにハマりすぎててホッとする(?)。

●4月 『四月になれば彼女は』

世界各地でロケを敢行するスケールの大きさが新鮮だった。日本で作られる作品の多くは国内の撮影地で完結することが多いけど、そこにウユニ湖だとか壮大な景色のシーンが差し込まれると一気に作品の世界観も広がる。森七菜さんが素敵なのは確かだけど、ほか二人との年齢差が気になってしまった、どうしても妹くらいなのですよ。回想でかなり時間が空く設定なら佐藤健さん、長澤まさみさん、森七菜さんの3人が同世代というのも理解するんですが、、、キャスティングって難しい。

●4月 『ゴジラ-1.0』

今までゴジラを観たことがありませんでした。今回はタイミングが合ったのとアカデミー賞視覚効果賞受賞ということもあり観に行ってみました。ゴジラが思いの外コワモテで恐竜じゃん!というのが第一印象…登場人物たちは果敢に立ち向かっていたけど、実際あんなのに遭遇したらトラウマ案件で逃げ惑うのがオチだよと思って観てました(笑)それはそうとしてどうしてもゴジラに注目しがちだけど、きちんと人間たちの人間ドラマが描かれていてよかった。ゴジラを退治したからって戦争の感情が払拭されるのかは疑問が残るものの、一定のカタルシスはあるのかなと思いました。ゴジラ初見ゆえ、へぇゴジラには縄張りがあるのかとかゴジラは明確に人間を標的に攻撃してくるのは何故かとかいろいろ疑問も湧いてしまって気になる。

●5月 『オッペンハイマー』

評判もよく、劇場で観られなくなる前に早く行かねばと思ってたものの、長時間の上映時間に怯んでなかなか足が運べなかった作品。なんとか時間をみつけて観てきました。3時間ダレることなく濃い作品だった。日本人なら原子爆弾が発明され投下されたことに対し、他国の人が観るのとはどうしても異なるフィルターがかかる。それでもこの作品はあくまでオッペンハイマーという科学者の人間ドラマであり、科学者としての飽くなき探求心と実際にそれが使われることとの乖離と葛藤など見応えがあった。いくつかの論評を見ると、ここまでアメリカ人が原爆投下について否定的に捉えるようになったのかという変化の現れを指摘するものもあった。たしかにこの作品が評価を受けたということはそういったメッセージも受け入れられている証拠なのだろう。一方で、本国では「バービー」と同時期に封切られ、バービーの髪形をきのこ雲にしたコラージュ画像が公式から投稿され批判を受けたなんてことがあったけど、あの事案を見る限りやはり心の奥底ではまだまだ分かり合えないのかもしれないと思ったり思わなかったり。

●6月 『ミッシング』

まさに迫真の演技。ご本人が自分を変えられる機会として吉田恵輔作品に出ることを熱望されたということを各メディアで話されていたけど、その通り皆の知っている石原さとみさんではなかったし、地上波ドラマでは今後もお見掛けしないかもしれない姿だった。子どもが失踪してしまう経験など想像でもどこまで出来るものかわからない至極個人差のあるもので、石原さんの演技が正解かどうかもわからない。それでも感情のほとばしりは痛いほど伝わった。私は結構、夫役・青木崇高さんの演技がぐっと来るものがあって好きでした。

●7月 『バジーノイズ』

風間太樹監督作品ということで気になりつつも見損ねていた作品。機中で観られたので感想を少しだけ。「音が心地よい」というのが第一印象(きっと映画館ならもっと没入感があったのかもしれない)。私はあまり音楽に詳しくないからバジーノイズという専門用語を知らなかったけれど、それを表現したと思しき映像も映画のアクセントになっていた。冒頭ヒロインがガラスを叩き割るシーンはあまりにフィクションじみている感じがして違和感だったのだけど(実際フィクションだけど)、きちんとその描写が後半に繋がることが分かって腹落ち。派手さなど無くてじんわり心に沁みるテイストのとても好きな作品でした。

●8月 『あまろっく』

こちらも観たいと思っていたら機中で観ることができた作品。「あまろっく」とは何かという説明が冒頭にあった上で話が進み、あまろっくがメタファーとして要所要所に効いてくる。全体としてとても丁寧なつくりだなと思いました。江口のりこさんの役どころも非常に共感するし、唐突すぎる二十歳の再婚相手の存在もなんだかんだ押し切られる形で途中から違和感が無くなってくるという不思議な感覚。この手の人情系邦画もかなり好みです。

●8月 『言えない秘密』

評判が良いので気になっていた作品をようやく観に行けました。ネタバレなしで観たので、最後ちゃんとそういうことだったのねとストーリーを理解。ピアノを弾くシーンが「動」、登場人物たちのやり取りや各々のモノローグが「静」となって全体にメリハリを作っていた良作。個人的にはクライマックスは主役たちが喋りすぎかなという印象。あと最後の最後、京本大我さん扮する湊人がきっとピアニストを目指そうと再度意を決すると思われるシーンを描かない点も悩ましいなと。私ならどうするかなとずっと考えていました。それにしても現在放送中の「海のはじまり」然り、古川琴音さんはちょっと変わった少女の役どころが本当に似合うし、ついでに病気で早世、遺影で登場なんてところも設定が同じというのはなんとも。

●8月 『赤羽骨子のボディガード』

普段漫画を読まないのであまり実写化に対するこだわりはないですが、しいていうなら漫画を忠実に再現しているかよりも映画が映画としてちゃんと成立しているかが大切だと思っています。さて今作、テンポがよくてとても楽しめました。多種多様な演者はもちろん、大団円で終わることも想定通りで、きちんとそうやって終わるからよい。特にこの作品で印象的だったのが劇伴!アクションシーンを彩る各種音楽の選曲がすごくよかった。というのも「歌あり」だったのが斬新で。通常物語を邪魔しないように、でも最大限シーンを盛り上げるためにBGMを入れそうなものだけど、むしろ「歌あり」でがんがんにシーンを盛り上げることに静かに感動しました。夏休みのポップコーンムービーとして、ティーンはもちろん案外大人も楽しめて概ね100点ではないかと。

●8月 『ラストマイル』

待ちに待った本作。MIU404にはまり、もちろんアンナチュラルも観て、続編とまではいかないまでも、かの世界線に再会できたらうれしいなという視聴者の気持ちにバシッとはまった今回の映画化というニュース。8月はまだかまだかと首を長くして待っていたら、あっという間に公開日でした。視聴者サイドの勝手な「面白くないわけがない」という塚原監督×脚本野木さん×プロデューサー新井さんへの全幅の信頼。そして、実際に観に行って胸がいっぱい。単純にあー面白かったでは済まない内容だし構成なので、複数回観てようやく疑問点が解消されたり見落としている箇所に気づけたりするタイプの作品なのですが、とにかく何層にも積み上げられ練られた中身に圧倒されたし心が満たされた。期待を裏切らないとはこのこと。次期の日曜劇場もこの3名の座組みということで絶対に観る。

●9月 『スオミの話をしよう』

私が三谷作品で最もインパクトを受けたのが演劇「笑の大学」でした(西村雅彦さん&近藤芳正さんver.)。劇場ではなく、なぜか当時NHKの深夜にフルで放送されていたのをたまたま見かけて釘付けになったというわけです。その頃は、かの古畑任三郎シリーズもやっていたし「王様のレストラン」もとても好きな作品だったのですが、「笑の大学」の面白さは群を抜いて私に衝撃を与えました。さて、もちろんその後も折に触れ三谷作品には親しんできたので、もちろん今回も楽しみにしていました。感想は、精彩に欠くという感じでしょうか。。室内劇の展開など三谷作品らしさはあるもののテンポ感がやや時代に合っていないような。。中身についてももう一捻りあるかと思いきや結構そのまま。役者陣や演技は一級品なのは間違いないのですが、どこか作品としての重厚さを感じられず。かつて三谷作品を楽しませてもらった私が時代の流れとともに変わってしまって今作を楽しめなくなったのだとしたら寂しすぎる。ちょっとまた「笑の大学」に原点回帰してみようかな。

●9月 『ぼくのお日さま』

封切り前から観たいと思っていた上にかなり評判もよいので期待して観に行った作品。全編通して主役タクヤとさくらの各種シーンには眩しさを感じ、池松壮亮氏の鉄板のお芝居に静かに感動しっぱなしだった。特にさくらを演じた中西希亜良さんの”逸材見つかった感”がすごい。端正な顔立ちと大人びた表情が将来性を感じさせる。今後民放ドラマにも出るのかもしれないけど、スクリーンでもっともっと観てみたい女優だと思いました。池松さんは(陳腐な表現になってしまうけど)繊細な心の機微を伴う演技の巧さったらない。次回作も楽しみすぎる。でもこの作品で最も印象に残ったキャラはタクヤの親友のコウセイだった。タクヤを全肯定してくれるキャラの存在が実はめちゃくちゃ光っていた。キャラクターのバランスが絶妙な作品でした。

●9月 『ルックバック』

私はアニメも漫画も通らず大人になり今に至っています。そのため漫画原作のアニメ化に対する何からの感情は特になくて、この作品も知人がSNSで観るよう熱く勧めていたから観に行ってみたという次第。そんな感じですが、まず上映時間が一般的な商業映画に比べて短くて約1時間という時点で、このイレギュラーに妙なワクワクを抱きました、「さて、どんなものが観られるのだろう?」と。実際観てみると中身の濃さに圧倒されました。体感では一般的な映画でいうなら1時間半くらいの中身。京都アニメーションの放火事件も彷彿とさせる描写を含みつつ、主人公たちの努力と苦悩の成長物語として、そしてクリエイターへの賛歌として、数々の伏線を回収しつつ最後は観客の心に絡み合う複雑な感情、けっして嫌なものではない感情を与えて終わる様はお見事でした。綿密に作り込まれた作品の面白さ、尊さに感銘を受けました。創作ってすばらしい。

●11月 『AT THE BENCH』

脚本家・生方美久さんが携わっていて、オムニバスの変わった取組みだなと興味を持ったので観に行ってみました。私は事前に予約していったけど満席で当日券も買えない状態(なのに上映開始しても隣の席は空席のままだった)。さて、同じ一つの公園のベンチで繰り広げられる4組それぞれのお話。一つの椅子、それも撤去予定というお題を与えられて各クリエイターが展開を膨らませるというもの。それぞれ出てくる俳優陣も豪華そのもの。個人的にはエピソード2が好きだったかな。個性派の岸井ゆきのさんと岡山天音さんのやり取りに荒川良々さんの存在感を添えた作品。今田美桜さんが好きなので期待したものの、演出や編集のせいかとにかく叫びまくっている印象ばかり残ってしまったのが残念。緩急って大事だなと思うなど。

2024年は計18本の映画を観ました!このほかアマプラなどで観た作品もあるし、結構観たなぁという印象。TOHOシネマズと109シネマズの会員になったこともあり、ポイント貯めて1回無料で観るというのも実行できた年でした。
あまり個々の作品に優劣は付けるつもりはないですが、やはりなんといっても心待ちにしていた『ラストマイル』が流石の面白さでした!(計4回観た)
2025年もどんな作品に出会えるかとてもとても楽しみ。

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