「目標を達成したか」は自分で分かる 「成功したか」は周囲が決める 科学的に見た「一人前」とは?
「たゆまぬ努力を重ねること」
「目標に向けて小さい成功を重ねること」
「1つの分野に熟達してオンリーワンになること」
誰もが納得する「成功法則」です。
たしかに、これができれば
確実に集団のトップになれるでしょう。
でも、はたしてこれさえすれば
後世に残る成功者になれるのでしょうか?
1. 第1次世界大戦ドイツの英雄「レッドバロン」
第一次世界大戦中のドイツに1人の
戦闘機のパイロットがいました。
彼の名は、マンフレート・フォン・
リヒトホーフェン。
またの名前を「レッドバロン(赤い男爵)」
彼は、由緒正しいプロシア貴族の出で
ありながら、すすんで前線を選び
わずか24時間の訓練で、戦場の空に
飛び立ちます。
そして、25歳で戦死するまでの
3年間、80機の敵機を撃墜しました。
あえて敵に目立つような真紅の機体を駆り
敵機の頭上から襲撃する戦法に加え、
特注の銀のトロフィーを所望するなど
「華」の逸話に事欠かない男です。
そのため、死後30冊以上の伝記が書かれ
現在でも映画や歌の題材に使われています。
紛れもない「撃墜王」です。
しかし、こんな面白いデータもあります。
2. レッドバロンより技術は上だった忘れ去られたパイロット達
実は、当時のドイツには彼のような
エースパイロットは【392人】もいました。
そして全撃墜数からみると、
レッドバロンの撃墜数はわずか1.6%でした。
しかし、現在のグーグル検索の数では
ドイツ人エースパイロットについて
検索されるうちの27%が、レッドバロンに
ついてなのです。
さらに面白い話が続きます。
当時、敵国フランスには
ルネ・フォンクという
エース・パイロットがいました。
撃墜数はレッドバロンを上回る【100機】。
レッドバロンのような華麗な戦法こそ
ありませんでしたが、5発以内に相手を
沈める卓越した技術を持っていました。
なによりも、撃墜されたことは1度もなく
毎回、無傷で帰還していたのです。
はっきりいって、パフォーマンスだけいえば
レッドバロンを遥かにしのぎます。
しかし、ルネの名前は本国フランスですら
長く忘れられていました。
なぜこんな現象が起きたのでしょうか?
3. 「目標を達成したか」は自分で分かる 「成功したか」は周囲が決める
この研究に取り組んだネットワーク研究の
第一人者アルバート・ラズロ=バラバシは
次のように語っています。
当時のドイツ帝国は、低下する国民の士気を
高める絶対的な英雄(アイドル)を
探していました。
華やかで勇壮なレッドバロンの気質は
これ以上ない格好の題材でした。
だからこそ、他のエース・パイロットに
抜きん出て、国家ぐるみで「推し」たのです。
そこには何の合理性もありません。
たまたま集団の「気運」と個人の「気質」が
マッチしただけです。
でも、これは「成功」の譲れない本質です。
バラバシは研究を通して、こう述べています。
目標を達成したかは自分でわかります。
でも「自分が成功者か否か」は、
結局、自分で決めることはできません。
決めるのは、いつだって「他者」です。
成功者の前には、まず「一人前」に
みなされる必要があります。
そこまでは、やはり基礎を習得し
パフォーマンスを上げる努力は必要です。
しかし、その先は、
属する社会の気運を掴み
自分の気質や気構えをアピールして
いく工夫が欠かせません。
本日もお読みいただき
ありがとうございました。
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参考文献(P. 25~33、40)
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