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仮説の手前 08

基本的に記憶力が悪い人間なのだと思うのですが、小学生のとある晴れた日の全校朝礼のことはいまだに鮮明に憶えていて。

僕は小学2年か3年生だったと思います。担任の先生(40代くらいのとても優しい女性だった)が、珍しく朝礼台に立ちマイクに向かって話を始めようとしていました。

なんの話をするのだろう?首をかしげる僕らをよそに、先生は「空を見上げてみてください」と語りかけました。いつもの先生の声より緊張感をもった、いくぶんかたい声だったことをおぼえています。

素直に従い空を見上げれば、雲ひとつない青空でした。

少しの間の後、息を吸い込んだような音が聞こえたと思ったら「唾を吐いてみてください」という声がスピーカーから聞こえてきました。

え。唾?唾って言った?一気にザワザワし出す校庭。小学生低学年の目立ちたい盛りの生徒は面白がってやってみては「きったねぇ」などと盛り上がっています。

僕はと言えば、あの優しい先生が「唾」という言葉を使うこと自体にのっぴきならない空気のようなものを感じて視線を朝礼台に戻していました。朝礼台に立つ先生の表情はハッキリとはわからないですが、柔和な空気とは程遠く、青白さすら纏っているようにも見えました。

一通りザワつきがおさまるのを待ってから改めてマイクに近づいた先生は

いいですか?吐いた唾はいずれ必ず自分に返ってくるんです。そのことを忘れないで

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確たる根拠はないけれど「そうかもしれない」と思うことは、日々の生活や仕事の中で結構あると思うんです。普段は通り過ぎてしまうそういう感覚が後々顔を出してはヒントを与えてくれることも。正解やノウハウばかりが並ぶSNSでは発言することに気が引けてしまう「なんとなく」を月に2回を目処に書き残していきます。読んだ方々にとって、日常の「小さな兆し」に気づくきっかけになれれば。

仮説の手前

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