【論文レビュー】プロアクティブ行動を能力向上に繋げるのはリフレクション!:田中ほか(2021)
立教でお世話になっている田中聡先生が筆頭著者で、第二著者の池田先生をはじめとした東大の山内研究室関連のみなさまと書かれた論文が面白かったです。結論を先に書くと、プロアクティブ行動にはいくつか項目がありますが、そのうちの若年労働者によるフィードバック探索行動と組織情報探索行動が周囲からのリフレクションを媒介することで職場における能力向上にポジティヴな影響を与える、としています。
プロアクティブ行動とは何か
まず、説明変数であるプロアクティブ行動についてですが、定義としてはGrant & Ashford(2008)を用いて「個人が自分自身や周囲の環境に影響を及ぼすような先見的かつ未来志向・変革志向的な行動」(148頁)としています。彼らのオリジナル論文は以前扱ったので、より詳細にご関心のある方は以下をご笑覧ください。
プロアクティブ行動には下位項目があり、本論文では因子分析の結果、フィードバック探索行動、組織情報探索行動、ネットワーキング行動という三つの因子として析出しています。その上で、これらの因子と【リフレクション】と【職場における能力向上】との関係性を明らかにしたものが以下の図です。
プロアクティブ行動→リフレクション→能力向上
上図にて要諦は明らかになっていますが、二つだけ大事なポイントを記しておきます。第一に、フィードバック探索行動のみが職場における能力向上に直接的な影響を与えています。若手社員が自分から周囲に対してフィードバックを取りにいくことは、リフレクションを促して能力向上にもつながるし、それがそのまま職場における能力向上にもつながる重要な行動だと読み取れます。
第二に、リフレクションが持つ媒介効果の高さです。つまり、プロアクティブ行動を取ってね!と若手社員に言うだけではなく、上司や先輩社員によって若手社員へのリフレクションを支援することが若手社員の成長にとって極めて大事であるということです。