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【論文レビュー】リアリティショックとメンタリングとキャリア発達の関係性について:児玉 (2016)

本論文では、小学校で教育実習を行った大学生を対象として、教育現場でのリアリティショックが本人のキャリア発達にどのように影響し、その関係性に対してメンタリングが調整効果を持つことを検証しています。学生への調査でありながら、初職に近い経験からリアリティショックを見るというなかなか興味深いデザインに感じました。

児玉真樹子. (2016). 教育実習でのリアリティショックにおけるメンタリングのキャリア発達促進効果. キャリア教育研究, 34(2), 31-40.

言葉の定義

本論文は教育実習生を対象としているため、著者は教育実習生にとってのリアリティショックと、教育実習生に対するメンタリングというようにそれぞれの言葉を先行研究をもとに厳密に定義しています。

まず教育実習中のリアリティショックについては、「実習前に抱いていた予測と、実習中に経験した現実のギャップによりショックを感じること」(p.31)と定義しています。次に、メンタリングは「経験豊かな成熟者であるメンターが、発達途上にある未成熟者であるプロテジェに対して、プロテジェのキャリア発達を促進するための支援を行うこと」(p.31)としています。

こうした定義を踏まえて、教育実習生のうちリアリティショックを経験した群とあまり経験しなかった群とに分けて、メンタリングによるキャリア発達への影響関係に対する調整効果を検証しています。

リアリティショックを経験した場合

まず、リアリティショックを経験した教育実習生のケースについての結果をみていきます。リアリティショックを経験した場合、メンタリングが不十分だと教育に対する関心が弱まります。他方で、メンタリングが十分だと教師という職業アイデンティティが高まることが検証されました。

リアリティショックを経験しなかった場合

次にリアリティショックを経験しなかった教育実習生についての結果です。メンタリングは教師という役割効力感を高める影響を持っていることが検証されています。

リアリティショックとメンタリングとキャリアに関する関係性について、なかなか興味深い内容の論文でした。ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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