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【読書メモ】『ピアジェ入門 活動と構成』(ダニエル・アムリン、ジャック・ヴォネッシュ編)

心理的構成主義を打ち立てた人物として知られるジャン・ピアジェについて調べようと入門書を読んでみました。心理的構成主義と社会構成主義という二つの構成主義については以前まとめたので、ご関心のある方は以下をご笑覧ください。

ピアジェの心理的構成主義

本書はピアジェの思想と考え方を平易に解説してくれている入門書です。子どもを対象とした研究をしてきた方ですが、自身が子どもの頃から追って書いてくれているので伝記とも言えます。そのような書籍なのですが、個人的には心理的構成主義について興味があるので、だいぶ偏った所感であることはご承知おきください。

この語(構成主義=引用者註)は認識が主体自身とその環境のおかげで段階的に構成されるということを意味している。つまり、認識の発達した形式は生得的でもなく、また、環境からすべて取り出されるものでもない。それは個人の生得的特性と環境的要因に依存しているが、それが構成されるためには、認知的均衡を改善させる性向を持つ活動的主体と、それに反応する環境が必要である。

p.26-27

子どもが成長する過程を認識の発達としてピアジェは見ています。この認識のあり方が心理的構成主義そのもののように思えます。自身と環境との相互作用でありながらも、私という活動的主体が主で環境はそれに対して反応するものであるという関係性が示されています。つまり、相互作用の主体は私であるということです。

認識の構成

このような心理的構成主義アプローチの認識について四つの領域があると46頁で以下のようにまとめています。

  • 保存:環境についての我々の表象の中に確かな安定性の導入を可能にする

  • 因果的説明:世界を理解しようとする我々の意志によるものである

  • 数の構成:世界の科学的構成において必要な一つの要素を構成する

  • 空間の構成:我々の行動のための根本的な一つの次元である

知能と構成主義

改めて構成主義に関する異なる観点からのまとめを引用します。

<知能はそれ自身を組織化する中で世界を組織化する>ジャン・ピアジェ
 この提言は、ジャン・ピアジェのあらゆる構成主義的アプローチの中核にある。それは、我々が世界を理解することを可能にする我々の知能の構成と、世界についての我々の理解における変化の根源である我々の活動との、相互依存を主張している。それゆえ、人類の進化の場合と同じように、誕生から青年期への人間の進化は、活動と構成との間の終わりのない一つの相互作用(echange)に依存している。個人と環境のたえず繰り返される対立の中で、新しい知識が構成され、また、新しい知的手段が構造化される。

p.71

誕生から青年期までの進化について述べられているというこの箇所は、ピアジェの考え方がその後の発達論、ひいてはスーパーのキャリア発達論にも影響しているとも読み取れます。誤読だとまずいのですが、スーパーは心理的構成主義を基にキャリア発達論を提唱してキャリア成熟という概念を重視し、サビカスは社会構成主義をベースにキャリア構築理論を提唱してキャリア・アダプタビリティを重視した、というまとめ方ももしかしたらできるのかもしれません。


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