【論文レビュー】LMXって何?どう測ることができるの?:Liden & Maslyn(1998)
リーダーシップという現象の捉え方には、特性、行動、変革など様々な観点がありますが、リーダーとメンバーとの相互作用に焦点を当てたものもあります。その中で最も有名な概念の一つがLMX(Leader Member eXchange:上司部下交換関係)です。このLMXを測定する尺度として有名な論文を今回は見ていきます。
LMXは4因子構造!
著者たちは、勤務している学生(日本風に言えば「社会人学生」)302名を対象として調査を行い、因子分析の結果としてLMXは4因子構造であることを明らかにしています。具体的には下表の通り、①Affect(情緒的)、②Loyalty(忠誠)、③Contribution(貢献)、④Professional Respect(専門的敬意)の四つです。
LMXの下位次元と組織成果との関係性
本研究の何がすごいかと言えば、LMXは従来は一つの次元で捉えられていたのですが、本研究では複数の下位次元から構成されることを実証しています。細かな粒度で把握できるということは、詳細なメッシュで組織成果との関係性を明らかにできることになります。それを表しているのが下表です。
たとえば、職務パフォーマンス(performance:一番下)を見てみてください。忠誠に対しては1%水準でポジティヴに優位な影響、貢献については5%水準でポジティヴに優位な影響を与えていることがわかります。つまり、上司とメンバーとの相互作用の中で生じる忠誠心や貢献がメンバーの職務パフォーマンスに影響するということがわかるわけです。
他方で、離職意思(turnover intentions)には優位な影響関係がないことがわかります。厳密に言えば、10%水準で見れば、忠誠がネガティヴに影響している(忠誠が高ければ離職意思が低くなる)とも言えますが、10%水準であることに留意が必要でしょう。
おまけ
LMXについては、立教LDCの修士時代の読書会でまとめたことがあります。LMXという概念が生まれた背景や理論的な点についてご関心がある方は、以下をご笑覧くださいませ。