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【読書メモ】ジョージ・ミードの入門書としても読める!?:『自己形成の心理学』(溝上慎一著)
G・H・ミードは初期のプラグマティズムの論者でありつつ、その後のブルーマーのシンボリック相互作用論へと影響を与えた人物です。本書で溝上先生は、シンボリック相互作用についてミードを用いて解説してくださっています。以前、ミードの大部を読んだ身としては、この要約的な素晴らしい解説のありがたみが身に染みます。
シンボリック相互作用
著者によればミードはシンボリック相互作用を以下のように述べているとしています。
他者の役割や態度をmeとして内在化させーー俗に「役割取得(role taking)」と呼ばれるーー、私(I)はそのmeとのシンボリックな自己内対話を通して言動するというときの一連のプロセス
この解説の後に、野球の例が書かれているのですが、これが非常にわかりやすいのです。ぜひ関心のある方は本書を読んでみてください。
社会化としてのシンボリック相互作用
組織行動論では組織社会化という言葉がよく使われます。企業でも採用やオンボーディングの文脈でたまに目にすることがある概念です。シンボリック相互作用は社会化と関連しているものだと著者は解説しています。
行為主体としての私(I)はmeを受けて行動する。こうして、私(I)とmeを包含するものとして自己(self)を理解すると、人がどのようにして社会的な存在となっているのかという社会化のメカニズムが理解される。
プラグマティズムではIとmeとを切り分けて説明がなされるケースが多いです。ジェイムズにもよく出てきます。ミードは、このIとmeの二つの相互作用を通じて社会化がなされるというメカニズムを提示したようなのです。ここが、ミードがプラグマティズムを社会学の領域にもたらしたと言われる所以なのでしょう。
ミードをじっくり読みたい方へ
私と同じたのしみ(苦しみ?)を味わいたい方は、ぜひミードの論文集をお読みになってみてください。
本書を読んでいた際の私の苦闘は以下のマガジンに収録しています。