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【論文レビュー】ソーシャル・サポートが職務ストレスに与える影響とは?:Viswesvaran et al. (1999)

今回は、ソーシャル・サポート職務ストレスに与える影響に関してメタ分析を行っている論文の紹介です。68件の先行研究をレビューして、両者の影響関係を明らかにしてくれています。

Viswesvaran, C., Sanchez, J. I., & Fisher, J. (1999). The role of social support in the process of work stress- A meta-analysis. Journal of vocational behavior, 54(2), 314-334.

直接効果

ソーシャル・サポートからストレス反応(strain)には直接的な影響関係があることが明らかにされています。端的に言えば、ソーシャル・サポートがあることでストレス反応は軽減するということです。

そうかもな、という結論だとは思います。ただ重要なのは、ストレッサー(ストレスを与える存在)がいてもいなくても、またストレスが発生した直後に限定されず、ソーシャル・サポートがあることによって一般的なストレス反応が軽減する、ということが明らかになっていることは示唆的です。他の存在や要因に依存せず、ソーシャル・サポートのストレス軽減に対する効果が実証されている研究が多い、ということなのですから。

調整効果

直接効果の後段で少し触れましたが、ストレス反応に影響を与える要因としてストレッサーの存在があります。調整効果モデルについては、ストレッサー→ストレス反応という影響関係にソーシャル・サポートが緩和効果を持つかどうか、に関してメタ分析を行っています。

メタ分析の結果としては、日本語で現代的に言えば諸説あり、という感じです。一部の先行研究では、ソーシャル・サポートによる緩和効果が検証されており、他の一部の研究では調整効果が有意にならなかった、としています。また、高いレベルのソーシャル・サポートがある一部の状況においては、ストレッサーからストレス反応への影響関係が強まってしまうという結果が報告されているものもあるそうです。調整効果については、状況に依存する度合いが強いということなのかもしれません。

媒介効果

ストレッサー→ストレス反応への関係をソーシャル・サポートが媒介する(ストレッサー→ソーシャル・サポート→ストレス反応)という関係性は、1999年時点でのメタ分析では媒介効果がほとんど確認できなかったとしています。

当時は、複数時点における縦断調査が主流ではなかったので研究自体がどこまであったかという問題もあるでしょう。その後の研究ですでに明らかになっていることもあると思うので、今後、当たってみようと思いました。

最後まで目を通していただき、ありがとうございました!

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