SmartHRマーケティング組織Ver.2021
SmartHRの岡本(@takaokamoto1)です。
約1年前に公開したnote記事「SmartHRのマーケティング組織Ver.2020」から更に組織のアップデートがあったので最新情報を公開します。
簡単に振り返ると、2020年は機能別から目的別をメインテーマに組織を再編成しました。オンラインマーケとオフラインマーケの組織をそれぞれリードマネジメントとブランドマーケティングに変更しました。この組織変更により、昨年は両組織共に大躍進の1年となりました。特にブランドマーケティングは、大きな飛躍を遂げることができました。
リードマネジメントについては、「コロナの影響を受けても過去最高のリード数を達成できたマーケティングとは?(数字と施策の側面で語る)」の記事を。ブランドマーケティングについては「ブランドマーケティングを導入してみて、どうでしたか? SmartHRのマーケティング組織Ver.2020を振り返る」を読んでみてください。
そして、2021年はここから更に変化が起きています。
2020から2021に起きた組織の変化
2020年から2021年に起きた変化は
1、リードマネジメント領域、進む高度専門化
2、メディアからサーキュレーションマーケティングへ進化
3、データマーケティング組織の誕生
の3つです。
1、リードマネジメント領域、進む高度専門化
2020年から2021年にかけて、リードマネジメント組織はリードジェネレーションデジタル、リードジェネレーションイベント、リードナーチャリングの組織に分割しました。
なぜ分けたか?
それは、事業・組織の成長に伴う変化に対応するためです。
スタートは外部環境の変化からです。この「外部環境の変化」とは、新規リード獲得がより一層難しくなってきたことを指しています。これは、これまで積極的にマーケ投資を行ったことにより、獲得リードのカバレッジが高まってきたことに起因します。そして、これに付随してインハウスリードへのナーチャリング活動や失注商談などの再MQL、商談化の活動など、これまでに積み上げてきた活動による資産価値が高まってきています。
これらの変化に対応するために、リードジェネレーション、ナーチャリング活動それぞれの高度専門化が必要となりました。(ナーチャリング領域は活動量の増加も必要だったので重点的な人員増も必要でした。)
リードジェネレーション領域は、これまでのように多様な地域や業種へリーチするようなダイナミックな広告出稿を継続しつつ、アドオンする形で、パーセプションフロー・モデルをベースとした、きめ細やかなマーケティングコミュニケーション設計へと移行中です。このように、認知からリード獲得、商談創出・受注など各マーケティングファネルの転換率を向上させていく取り組みも強化しています。
ナーチャリング領域は、今後特に強化する領域です。
人員を補強しながら、行動量、活動領域ともに拡大し、専門組織を作るフェーズになってきました。
外部環境への対応を進めていくと、当然、内部環境に変化が起こります。2020年1月のリードマネジメント組織発足当初は、プレイヤー・マネジメントロール含めて6名の組織でしたが、現在では、16名の規模になっています。一般論としてマネージャー1人あたりがマネジメントできるメンバー数は7〜8名程度が目安とされているので、意思決定の正しさ、スピードを維持するために2or3の組織に分割する必要がありました。
このような経緯で、リードマネジメント組織は、リードジェネレーションデジタル、リードジェネレーションイベント、リードナーチャリングの3つの組織に分業しています。
さらっと、この3組織のミッションや活動について紹介します。
リードジェネレーションデジタルとイベント組織のミッションは共通で、「人事労務(担当者)の課題喚起をし、解決を導くコミュニケーションを展開し、SmartHRへの興味関与度を高め、リード(MAL/MQL)を獲得し、商談創出に繋げる」です。ミッションを達成するためのコミュニケーション方法が異なります。
リードナーチャリング組織のミッションは、「見込顧客と継続的にコミュニケーションを取って、SmartHRの利用意向を高める。また、効果的にマーケ/セールス活動を行うためのデータの構築・整備を行う。」です。ナーチャリング活動というコミュニケーションの企画、施策実行を行いながら、それを実行するための土台になるデータというインフラ整備も同時に行う凄い組織です。
リードジェネレーションデジタルの活動
リードジェネレーションイベントの活動
※新型コロナウイルス感染症拡大前に実施したイベントの写真も掲載しています
リードナーチャリングの活動
現在は、受注フェーズまでのナーチャリング活動を中心に行っていますが、今後は既存ユーザーとのコミュニケーション領域へも活動範囲を広げていき、アップセル・クロスセルなどを目的としたCRM領域もカバーしていきます。
2、メディアからサーキュレーションマーケティングへ進化
ここの組織・役割変更の詳細は、ふじじゅん(@fujijun89)執筆のSmartHRの編集軍団がサーキュレーションマーケティングに挑むワケで詳しく語られれているので、ここでは簡単に紹介しておきます。
サーキュレーションマーケティング組織となる前は、オウンドメディアの運営、導入事例・eBookの編集により、上図の①パーチェスファネルにおけるデマンドジェネレーションの後押しをミッションにしていました。現在は、パーチェスファネルだけでなく、②のインフルエンスファネルにおけるカスタマーアドボカシーの後押し、更には②から①への循環(サーキュレーション)促進までをミッションにしています。
ひらたく言うと、コンテンツや場の編集力を活かした取り組みによって、お客さまがお客さまを自然と呼びたくなるような循環型の仕組み(サーキュレーション)をつくることがミッションになっています。
ふじじゅん(@fujijun89)の記事にも、ミッション変更の背景について記述がありますが、SmartHRとお客様との間の信頼の積み重ね、ブランド資産が形成されてきたことが根幹にあると思います。いくら私たちが「お客さまがお客さまを自然と呼びたくなるような循環型の仕組み(サーキュレーション)を作りたい」とアクションをとっても、そこに信頼関係がなければ、賛同者はなかなか現れません。
3、データマーケティング組織の誕生
2020年の10月よりデータマーケティングを専門とする組織を立ち上げました。誕生の背景は、以下の3つになります。
1. SmartHRがリリースし、5年が経過。多くのマーケティング・セールス活動のデータが溜まり、その利用価値が高まってきた。
2. 組織の成長と同時に、業務の細分化、複雑性が高まり、合理的でかつ全体最適な意思決定をするために定量的な一次情報が必要とされはじめた。
3. 事業、市場が成長し、成熟していくと最後は確率戦になるので、その準備を今からしておきたい。
では、このような背景で誕生したデータマーケティング組織ですが、どのような役割を果たしているか?
役割は、下図の通り、AnalyticsとOperationの2つの領域になります。
データマーケティングというと、広告・プロモーション領域のデータ分析を行い、より効果的な広告効果を生み出すための予算の再配分の示唆出しが一般的ですが、マーケティング領域に閉じていないのが特徴的です。マーケティング領域に限らず、インサイドセールス・セールス(=導入までをゴールとする組織)のデータを統合的に集計・分析し、ビジネス領域全体の意思決定を支援することで、事業全体に大きな貢献をすることをミッションとしています。
背景にも記載しましたが、事業のフェーズが進めば進むほど、その役割の価値が大きくなる組織です。この組織が起点になり、事業の成果に大きく影響を与える。そんな存在になることを期待しています。
専門、分業化が進むことによる課題への対応
組織が大きくなり多機能化(分業)が進むと、業務の専門性は高まりますが、その反面、一人ひとりのメンバーの業務領域・権限は狭くなるのが一般的です。
この課題にも向き合い、全員が生き生きと働き続けることのできる環境作りにも心掛けています。
具体的には、できる限りメンバーに意思決定してもらうこと、積極的なジョブローテーション、マネジメントロールを固定しないことに意識的に取り組んでいます。
まず意思決定してもらうことについてですが、これは「職務に対する自律性(自由裁量の範囲大きさ、仕事の結果に責任を感じられること)」を持てる状態を作るためにやっています。自律性が仕事のやりがいを生み出します。例えば期初時点であれば、事業の成長目標のために、この領域ではこれくらいの成果を出して欲しいと伝えます。そして、それを達成するために必要な人員、広告予算をボトムアップ型で出してもらいます。貴重な経営資源をどこに投資するかの意思決定なので、その内容に妥当性があるかどうかは擦り合わせしますが、最終的にはメンバーが主体的に仕事に取り組めるよう進めています。
次に、積極的なジョブローテーションの狙いは、メンバーの中長期的なキャリア形成、市場価値の向上です。特定の領域だけでなく、複数の領域の経験を積むことは、市場価値の向上に大きく繋がります。これはメンバーにとって良いだけでなく、強い組織作りにも役立ちます。数年先にはなると思いますが、お互いがお互いの仕事を知っている(経験として持っている)状態が作れると、高いシンクロ率を持った組織になり、想像を超えるコラボレーション企画が生まれ、大きなレバレッジの効いたマーケティング活動ができると期待しています。
最後にマネジメントを固定しないについて。こちらはまだまだ実験段階ですが、最小単位の組織のマネジメントを定期的に交代していくことを行なっています。上述のジョブローテと同様ですが、メンバー個人のキャリアという観点でもプラスになりますし、組織としても誰もがマネジメントをできる状態は最強だと思います。これが実現できたら、あらゆる状況にスピード感を持ったまま、柔軟に対応できる。そんな最強な組織ができると信じています。
上記のような取り組みをしつつも、下図のように、ブランドマーケと広報・PRが連動し、認知・指名検索を高め、イベント・デジタルがリード獲得を行い、ホットリードとならなかったものは、ナーチャリングが再MQL化をする。そして、サーキュレーション・データマーケティングが全体の活動を支えるように、各組織のミッションの達成のためにお互いを必要する組織構造になっているので、自身の担当領域以外にも視野を広げながら日々仕事できるようになっています。
最後に
どんなに優れた戦略も、それを正しく実行できなければ意味がないです。私は、戦略を実行するための組織デザインをとても大切にしていますが、それ以上に戦略と組織デザインの意味を理解し、メンバーが実践できるオープンでフラットな組織。つまりは、メンバーとマネジメントとの双方向コミュニケーションが成立してる組織を作ることが最も大事だと思っています。
こんなマーケティング組織ですが、下記ポジションをオープンしてるので、気になった方は気軽にエントリーしてみてください!