終わりの淵から エピローグ
身体は疲れ切っていた。
鼻を劈く異臭と暗闇しかない世界に入り込んでから、一体何時間が経ったのだろう。
生臭い腐臭混じりの使い古された空気に、息苦しさは増すばかりだ。私の体は、この場所に順応しなくてはならないと、生命維持装置をフル稼働させ、無けなしの底力を発揮して、足を前に進めていた。長時間、下水に浸かった足の感覚は、もうない。こんな風にむかしは歩いていたという、感覚だけが頼りだった。この終わりのない迷路に必ず目指す場所がある。逃げ場のないこの地下水道で、私は、ただ未来を信じて