第二 生れ甲斐ある人となれ(後編)
なぜ,嘉納はセネカ(ストア哲学)を引用したのだろうか.
この文章に似た文章は,他にもあっただろうに.
私は,そう考えてしまう.だから,勝手に読み解いてみる.
ストア哲学は,ヘレニズム時代(BC500年くらいからBC27年)に隆盛を極めた4大学派の哲学の一つである.アカデメイア,リュケイオン,エピクロス派,そしてストア派である.
エピクロスの快楽主義とストアの禁欲主義は聞いたことがあるかもしれない.ここでいう快楽は,美味しい飯や酒に心が奪われ,恋人に夢中になることではない.「