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第一 我が国の青年に告ぐ
浅学非才の私にとって,青年修養訓は「第一」から文章が難しい.しかしながら,言いたいことは明確で,解釈が難しいわけではない.じっくり辞書を開きながら読めば,内容を理解することができる.嘉納が伝えたかったことを私が勝手にわかりやすく伝えてみたいと思う.
「第一 我が国の青年に告ぐ」の嘉納の主張は,現代の言葉でいうと,たぶん...
青年よ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!
これがわかりやすいと思う.
嘉納は,青年に対して「奮起」という言葉を何度も使っている.
吾人は我が青年がこの時この国に生れたる自己の遭遇と自己の任務とを自覚し,猛然として奮起し,発憤忘食の意気をもって,学に従い業を成さんことを切望するのである.
*発憤忘食は論語にある言葉で「発奮すると食事をすることも忘れるほど集中する」という意味
これが,この章の最後に書かれているものである.ここに集約されている.「第一」の多くは,嘉納が生きた日本の今を歴史的な背景から説明している.簡単にまとめると
3000年の積み重ね(他国の長を採り日本の短を補う)で進歩してきた国である.
鎖国後の西洋の文明の輸入による変動は歴史的にみても一層大きい.
明治二十七八年戦役,北清事変,明治三十七八年戦役の結果から,世界からみて,東亜の一小国ではなく世界の一大帝国に位置している.
ただし,世界の諸強国に比較すると,まだまだ及ばず,智識も経験も浅い.
各国の事柄が世界に影響することはなかったが,今や世界は一つの舞台で,各国はその舞台の出演者であり,影響を及ぼし合う.
このような経験を踏まえて
東西文明の精粋を,我が国性に同化し融和し醇化の大作用を遂げて,偉大なる新文明を醞醸し創作して,これを世界に弘布することは,我が国民の天職とすべきところである.
としている.歴史的背景からみても,日本という国は他国の良いものを取り入れて,日本の弱い部分を補ってきたことから,東とか西とかに囚われず,精を咀み粗を吐き同化して進歩することに長けているよ,と.こういうことを青年が忘れてしまうと日本の前途もやばいぞということで,
我が国三千年の光栄ある歴史をして,ますますその美を世界になさしむるも,あるいはこれを闇黒の裏に葬り去るも,一に今日の青年の勉ると勉めざるにあるから,文に武に農に工に商におのおのその志すところによって,全力を致し最善を尽くすがよい.
と述べている.今は,多望な世の中だからこそ青年に奮起してほしいという最初の引用に戻る.「第一 我が国の青年に告ぐ」を簡単にまとめると
青年よ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだ~~!おい!おい!おい!よっしゃー!
と通訳しました.次は「第二 生れ甲斐ある人になれ」です.