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乗車率が低迷する都会の特急列車

 大阪近郊のJR宝塚線は、関西の奥座敷と
呼ばれる城崎温泉を結ぶ特急列車を
運行している。

しかし、この特急は特にコロナ禍からの
回復が思わしくない。

それはなぜか?
またちょっとした乗車率向上の工夫とは?


■実際に、八鹿駅→尼崎駅に乗ってみた


 週末の夜に、上り列車に乗車した。
こうのとり24号である。
城崎温泉から福知山までは4両編成であったが、
同駅で3両増結の7両編成になる。

 温泉の日帰り客や、但馬周辺の観光で
訪れた人が多数乗っているものと考えていた。

 まあ、その証拠に福知山駅で3両増結して
運転するというくらいだから。

ただ、お客さんは増えることなく、
夜の福知山線を静かに走る。

柏原・篠山口・三田と停車すると
大阪都市圏に入ってきた感じだ。
宝塚は阪急との乗り換え駅。

尼崎駅まで帰ってくると都会の賑やかさの中に
帰ってきた感じが一気にする。

ただ、わずかばかりのお客さんしかいなかった。

■乗客が少ない要因



 私自身は、城崎温泉が特に
インバウンド界隈では人気の観光地との報道をみて
知っていたのでかなり不思議な感じがした。
 
 関西人なら、城崎周辺には北近畿自動車道の
延伸でほぼ高速道路でつながったので
クルマで出掛ける機会が増えた。

そのため、地元客が減ったのはわかる。
 
 ただ、私が乗った時にはインバウンドも
ほとんど見かけなかった。

■ベッドタウンと通勤特急


 この「こうのとり」号はJR宝塚線という
大阪への通勤路線を通る。
そのため、JR西日本では着席通勤に力を入れて
通勤特急として推している。

「JR西日本数字で見る2024」の中で
都市間特急のコロナ禍からの利用客数というところで
「きのさき」「やくも」などの特急は2019年比85%
戻ってきている。

しかし、「こうのとり」は70%しか戻ってきていない。
これは、ちょっと突出した数字になっている。

どうも、この需要に陰りが見えているようだ。

■新名神高速道路が開通が遠因に?



 高速道路の事情になる。
 以前は、週末には中国自動車道で週末には
宝塚トンネルで大渋滞が起こっていた。

これは、まさに行楽客のクルマの移動のためである。

しかし、新名神高速の開通のお陰でほとんど
混まなくなった。

これ自体は「こうのとり」とは何の関係もない。

ただ、この空いた中国自動車道を活用して
三田の住宅街を発着する高速バスが
大阪や神戸に向けて設定されたのである。

しかも、通勤向けのバスである。


大阪方面行きバスの時刻表(抜粋 ゆりのき台1丁目発)
このほかに、関西学院大学発着のバスが多数ある

これが、JRや神戸電鉄を利用していた
通勤客が利用し始めたのである。

そして、特に通勤時に「こうのとり」号を
利用していた人は快適性もほぼ変わらない
高速バスに移った人が多いように思われる。


神戸三宮方面行きバス時刻(けやき台1丁目発)

また、三田の大きな住宅街はJRの駅からは
離れていて高速バスなら住宅街で
乗り降りできるメリットがある。


■JRのこまかな「こうのとり」号施策


 自由席をなくし、定価ベースでは大幅な
値上げとなった「こうのとり」号。

ネット予約のチケットレスなら従来と同じ
くらいの値段で利用できるようにしている。

ここまでは他の通勤特急でも行っている
サービス。

ただ、この「こうのとり」号は乗車後でも
チケットレス特急券を買えるようにしている。

これは、通勤時でも十分に空席があるから
このようなことができるという事なのだろう。


■まとめ


・特急「こうのとり」のお客さんが戻らない
・インバウンドに人気の城崎温泉を抱えるにも関わらず
・通勤利用者が大きく減ったようだ
・北摂地区の高速道路網改善で通勤高速バスが人気になったからか?
・「こうのとり」だけ乗車後にチケットレス特急券が購入できる


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