私を映し出すもの。
【Y – generation artists】@銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM
これは「Y世代」と呼ばれる現代アーティストたちをフィーチャーした展覧会で、そこにスクリプカリウ落合安奈さんの新作四点が展示されていた。
落合さんは、1992年生まれ。日本(東洋)と ルーマニア(西洋)という、離れた国の両親をもち、彼女自身は日本という島国の、埼玉で生まれている。
2016年に、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を主席で卒業し、
同大学院美術研究科修士課程グローバルアートプラクティス専攻に進み、2019年に卒業。現在は同大学院博士後期課程美術研究科美術専攻彫刻に在籍している。
そんなに数多く展示を拝見したわけではないが、
2019年に藝大で出合ったインスタレーション
「Blessing beyond the borders」が印象的だった。
この作品は、巨大な二重螺旋構造をとって、その中を鑑賞者が旋回し、入り口とは異なる方向から出ていく仕掛けになっていた。
作品の中に入り込むと、左右に連なりながら向かい合わせになった生地にさまざまな場面を捉えた写真がプリントされていることに気づく。それらは、遠く離れた国々・民族の、風習や信仰、儀式の場面だそうだ。触れ合うこともなく、ただそれらの場面は向き合っていて、私たちはその中を旋回しながら、通り過ぎていく。
その後、東京都美術館でも拝見した。それも光が情景としての場面を映し出す作品だったと記憶している。
だから、なんとなく落合さんといえばインスタレーション的な作品を思い浮かべてしまう。
今回は、銀座で偶然に出合った。そこにあった落合さんの作品は、猿をモチーフにしたアクリル画だった。
それは「mirrors」というシリーズの新作だった。
鑑賞者を見つめる瞳に思わず見入ってしまう。
それは野生のエネルギーのようでもあるし、社会的な視線のようでもある。
彼らがGINZA SIXのあちらこちらにいたら…。
そんな妄想も浮かんできた。