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ロボティクスの合唱。

【第22回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展】 アート部門 優秀賞「Lasermice」 作家:菅野創

暗闇の中で明滅するメディアインスタレーション。
暗幕の中に入った瞬間には目が慣れず
ただ緑の光が打音とともに光り、消えていく様しか
わからなかった。

が、しばらく見つめていると、
それが自立したロボットによって繰り広げられている
人工的な合唱であることがわかる。

メディア芸術祭の公式サイトから作品概要を引く。
「ホタルなどの群生する生物に見られる同期現象に着想を得た
60台の自走する小型ロボットを用いて、
有機的にリズムを生成するインスタレーション。
〜(中略)〜生物の場合、そのコミュニケーションは不可視だが、
本作ではレーザー光によってコミュニケーションをするため、
そのネットワークは視覚的である」

緑のレーザー光はコミュニケーションのために発せられていたのだ。
けっして美しさのためではない。
まぁ、考えてみればそうで、人間以外には「美」のために
何かクションを起こすといったことはないのではないか。

「私たちは蛙の合唱や鈴虫の鳴く声、群れで舞う鳥の大群といった
自然の営みを美しいと感じ、鑑賞する。
鑑賞に値する自然のようなものを人工的につくれないだろうか。
〜(中略)〜単なる模倣ではないオリジナルのアルゴリズムをつくることによって新たな表現を模索する試みである」

合唱が徐々にい高まるに連れ、空間は不思議な感覚に包まれていく。
それは蝉しぐれに聴覚を奪われているような感覚に近い。
個人的にはこの作品の満足度はかなり高かった。

#メディア芸術祭2019 #art #lasermice #菅野創 #kanno_so #media_installation

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