育児におけるデコとボコ

ふかふかの布団にまだ昼間だというのに包まる。
隣の部屋では娘が夫とプラレールで遊んでいる。
聞こえてくる声から察するに、どうやら電車でパン屋に行く設定らしい。

さっきまでの眠さが嘘のように冴えて、せっかく布団の中にいるのに眠れない。
布団が冷たいのもあるのかもしれない。

年末年始の休暇中、2歳児との連休に疲れた夫婦は、30分ずつ休憩を取ることにした。
ジャンケンで勝った私が先行だ。

この感じじゃ眠りにつくのは無理だと悟り、仮眠を取るのは早々に諦める。
ただ、布団の中は気持ちがいいのでゴロゴロは続けた。

目を閉じて、娘と夫の声に耳を傾ける。
ひたすらパン屋に向かっていて、いつまで経っても目的地に着く気配がない。
どんな遊びをしているのだろうか。

ふと時計をみれば午後3時。
リビングに下りる様子はないから、おやつは私の仕事になるだろう。

午後3時15分に布団から出て、「おやつにしようか〜」とプラレール部屋に入る。
今日のおやつは動画でしまじろうが美味しそうに食べていたみかんである。
興味があるかもしれないと思って買ってみた。

はじめは食べないと言った娘だったが、「しまじろうは食べてたのに？」と言うと乗ってきた。
その隙に夫が布団に向かう。
今度は夫が休む番だ。

娘とふたりでリビングに下りて、娘はダイニングの椅子に座らせる。
娘は促されて一度みかんを口に含んだが、皮が噛みきれなかったか飲み込めなかったかで結局口から出してしまい、それからは食べなかった。

ひとかけのみかんじゃおやつには不足だから、おにぎりを作ることにする。
しかし疲れているのかそれも食べない。

仕方ないから昼寝布団に誘導しようとするが全く寝る気配がない。
おかしい、おやつが食べられないくらい疲れているはずなのに。

そんなこんな格闘していると30分が過ぎ、夫を起こしに行く。
夫は目が覚めても起動まで時間がかかるから、さらにプラス15分を要した。

これは寝ないと諦める私の横で、夫は夕食の鍋を作り始めた。
娘は冷蔵庫をいじって冷凍のカボチャグラタンを見つけてしまった。
鍋にはニンニクが入る予定だったから、娘の夕食は鍋じゃなくてこのグラタンにしようと計画を変更して電子レンジにかける。

その途端抱っこをせがむから抱えてみればコテンと頭を肩に預けてくる。
「あ、寝るやつだ」と瞬時に悟った。

辛抱強く揺らしていれば眠りについた娘を布団に寝かせる。
もう時計は5時を回っていた。

30分ずつ休憩をとる前にそれは楽しそうに遊んでいた娘を思い出す。
夫は娘を笑わせるのが得意でよく遊んでくれる。
今日は布団にダイブして遊んでいた。
ただ出力が強すぎるのか長時間は持たない。

私は娘を笑わせたり楽しませたりするのは得意ではないが、低出力な分、娘と一緒に長時間いても平気なタイプである。

だから、休日は夫だけ休憩をとることも多い。
ひとりの時間が必要なタイプなのである。

ただこの日は続く連休に私も疲れてしまい、休みをもらった次第である。

私と夫は別の生き物だから、当然育児での得意不得意も違ってくる。
それがデコとボコでいい感じに噛み合っているな〜なんて思ったりしているこの頃だ。