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私がしてたのは「子育て」じゃなかったかもしれない

2歳の娘が保育園に行きたくないと言ったので、先生方と面談をした。

ざっくり言うと、「成長に伴い言ってはいけないことを言い出した(お友だちに「嫌い」とか)ため、都度注意している。本人は納得できないので頷かない。こんなやりとりが増えたから、娘は保育園嫌と言ったのかも」というお話だった。

「お家ではどうですか?」と尋ねられたので、家では親に嫌いとは言ってこないことは伝えた。

ただ、後になって気づいたが、「いや」とは言ってくる。
「ママいや」「パパいや」。
でも、これも咎めたらちょっと距離をとってほしい時の言葉が娘になくなると思い、止められてはいない。

あとは「メガネを家でも練習してほしい」ということも言われた。
娘は斜視で、目の使い方を矯正するメガネをかけている。
これで視力が育たなかったら手術をしないといけない。

ただ、メガネ屋さんに「子どもがメガネをずっとつけられるようになるのは3歳くらいからです」と言われてしまったこともありのんびり構えてしまっていた。

保育士の先生方は懸命に娘を説得してくれたようで、「これは娘ちゃんの目に大切だからかけようね」「これは娘ちゃんの大事なものだからね」と言い聞かせて園ではずっとかけられるようになっている。

家でも、言葉を尽くせばわかってかけてくれるようになるからと言われた。

エピソードが思いつかないのだが、面談の中で知った娘の姿はずっとお姉さんだった。
ずっと言葉も理解しているし、道理もわかっている。

金曜日の夕方から突然今まで甘かったママとパパが「メガネ」と言い出したから、娘は困惑しているしストレスも感じているのが見てとれる。
でも、確かに時間がかかっても諦めず言い続ければかけてくれる。

直球で「メガネかけようか」と言い続けこう着状態になった時、「わんわん(のぬいぐるみ)にメガネをかけて見せようよ」と言葉を変えたら素直にメガネを身につけてくれた。

娘も折れるための変化球を待っていたように感じた。

外出先でも最初は手を繋ぐが、時間が経つと離してしまう。
それも「お外は手を繋ぐ約束だよ」と言って再び手を握るようにしていれば、繋いでくれるようになった。
離しても、離すまでの時間が長くなった。

「娘を侮っていたんだな〜」と思ったし、「しつけとはこうするのか」とも思った。
2歳になる前から、園の先生からは「娘ちゃんは言えばわかります」とずっと言われてきた。
その意味がやっとわかった気がする。

もちろん、保育園だから頑張ってお姉さんをしているのかもしれない。
家では甘えたいのかもしれない。
でも、甘えてはいけないこともある。
守ってもらわなくてはならないこともある。

その伝え方が今回初めてわかった。
目線を合わせて、真剣に伝える。

これは絶対ママとパパは譲れないから、あなたが「うん」と言うまで繰り返します、と態度で示す。
でも、別の言い方をしたほうがわかりやすいかもしれないし、折れやすいかもしれないから、言葉は尽くせるよう頑張るよ。

そんな感じ。
もちろん、一度「うん」と言ってもすぐに次から守れるようになるわけではない。
でも、「うん」を待って時間が許すかぎり説得する。

今まで娘に接していたやり方はなんなのだろうと思ってしまうほど、目から鱗だったし、ちょっと自信がなくなったりもした。

なんの本で読んだのか、保育園とは「親も育てる」場所であるらしい。
きちんと「親」になれるように、子を導ける大人になれるように。
娘が通っている保育園は、その役目も果たそうとしてくれているのだな、なんて思ったりした。

たった2日で、娘はだいたい家でもメガネをかけられるようになった。
お互いとても疲れたけれど、娘は言えば本当にわかるのだと痛感した出来事だった。

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鷹野いづみ
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