表記のルールを考える 〜オウンドメディア運営の現場から〜
この記事は、株式会社モニクルの2023アドベントカレンダーの13日目です。担当は、コーポレートブランディング室の高村です。オウンドメディア「モニクルプラス」の運営を担当しています。今回は表記について、表記オタクの高村が語ります。
メディアごとに存在する表記や表現のルール
表記といえば、多くのメディアが表記のルールを設定しています。ひらがなか漢字か?漢数字か英数字か?など、日本語には表し方のバリエーションが多いこともあり、さまざまな表記があふれています。文章を書く上では、表記については必ず直面することとなるでしょう。
たとえば、私が新卒で記者として最初に入社したテレビ局には、たくさんの表記ルールがありました。例えば「様々」は使わずに「さまざま」と表記する、地名の後ろには、「大山町(だいせんちょう)」などと読みを記載するなどです。それは、記者が書いた原稿をそのままアナウンサーが読むので、「読みやすい」前提もあったと思いますが、視聴者にとってわかりやすく工夫するためだったと記憶しています。
新聞社などでもまた違った形で表記ルールが設定されています。それをルールブックのような形で発行している新聞社も多いです。例えば、毎日新聞では、「毎日新聞用語集」という辞書のようなものを発行しており、記者はそれを基準に記事を書いています。
また、有名どころだと、「記者ハンドブック」を使用している人も多く、私も愛用しています。(今のは緑だよ!))
よく悩む表記と表現の一例
ここからは、表記の問題として、わかりやすい例をいくつか挙げたいと思います。
まずは先ほども例に挙げました「様々」か「さまざま」か問題。そのほか、ひらがなで書くか、漢字で書くかについては、他に例えば「きりがいい」か「切りがいい」かなどもありますね。「〜かげつ」問題も面白い。
あと個人的に、めっちゃ議論だなーと思うのは、「生かす」か「活かす」か問題。記者ハンドブックでも、毎日新聞用語集でも、「生かす」の表記になっています。「活かす」は、常用漢字ではないため、「生かす」が正しいということなのですが。でも、今や「経験を活かす」とか「持ち味を活かす」とかいう使い方をされるときって、「活かす」の方が多い印象があります。なんか「活」の方が、イキイキしてる感があるというか。伝わりますかね?
そして、「笑い」表現についても、表記は揺れます。「笑」「(笑)」「(笑)」「(笑)。」「w」「www」など、さまざまです。これはただの表記ではなく、「笑い」表現の文化の変遷も反映されていますよね。
ちなみに私は「(笑)。」で表現するものだと、ライター時代に覚えたのでそうしてきました。朝日新聞デジタルのインタビュー記事でもその表記がありました。
ただ、「笑い」表現については、進化し続けていると思います。今や若者は「(笑)」自体使わなくなってきているとの声も。「www」とかも、もう古いネットスラング扱いされることもあるようなので、気をつけないとね…。こちらの記事、笑いの表記について書かれていて、とても面白かったです。
表記や表現は進化する
さて、ここまで見てきたように、表記や表現は本当に奥が深いです。特に、英語だったらこんなに悩まない「カタカナなの、漢字なの、ひらがななの?」とか、「どの漢字使うの?」とか、本当に考えただけでワクワクしてきます。メディアによって使う言葉が違うのとか、調べ出すと止まらない。
毎年流行語大賞が発表されるように、トレンドの言葉はどんどん変わっていきます。それと同じように、表現方法や表記もその時々、時代に応じて変わっていくものだし、変わっていくべきだと思います。そして、届ける相手によっても、やはり適切な表記や表現があると思う。
この傾向は、以前のようなマスメディア一強だった頃から、今のような多様化するメディアが混在している近頃、さらに顕著なものになっていると感じます。
私なりの表記との向き合い方
こんな表記表現オタクの私ですが、現在会社のオウンドメディアの運営をしていて、編集長を拝命しております。日々取材、執筆、編集をする中で、表記と表現の壁に向き合うことが多々あります。
「そこではどうしてこの表現にするのか?この表記にするのか?」読み手のこと、そして会社のブランディングとしての役割を元に、考えて答えを出すようにしています。また、心がけているのは、表記をできるだけ統一すること。オフィシャルな文章であるがゆえに、読みやすさと、安心感、信頼感のために、揺れがないようにしています。
ただ、もちろんこのnoteのように自分が個人で書くコラムや、副業で続けているライティングなど、読み手や媒体が変われば、また表記も変わるし、書き分けることを意識しています。
心がけていることは、表記や表現を考える時には、必ず「読み手に何を届けたいのか?」という視点を失わないことです。読み手によってリテラシーも変わるし、普段どんな言葉に触れているのかが違いますよね。極端な話ですが、例えば小学生向けの新聞記事とハーバードビジネスレビューでは、使われている言葉使いも、用語も全く違うわけです。だからどんな時も、読み手の気持ちになってみる想像力を失わないことが、ある程度表記や表現のルールを作り、その時代やメディアに合わせた文章を作る上で重要なのかなと思っています。
今後も表記病にならないように、楽しく表記オタクを貫こうと思います!この記事が少しでも表記について考えるきっかけになればうれしいです!
そして、モニクルのアドベントカレンダーは明日以降も続きます。エンジニアやデザイナーなどが、それぞれ個性豊かな文章をつづっていますので、ぜひクリスマスまで、お楽しみいただければ幸いです。
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