【詩】小麦畑と青空
黄金色の小麦畑に風が吹き、波が現れる
小麦の群れは海になって
青空から鯨が抜け出す
空と地に境なんてないのだと
鯨は小麦に飛び込んだ
弾けた黄金色の粒が
集まって鳥を創り出す
陽だまりを映したような翼を
蒼穹に広げて飛んでいく、巨鳥
小麦の騒ぐ音がして鯨がはねる
空に一瞬とけ込んで
またこちらがわに帰ってくる
多くの青を引き連れて
黄金の海とそらのさかな
潜るさきでぶつかり合って
それでも混ざらず黄金を泳ぐ
彼らにここは狭すぎるのか
「いいや、空も地もひとつさ」
鯨の声
「縛るものなどなんにもないのさ」
さかなの声
そして、何も言わない鳥
さえずりは自由を乗せて
翼が運ぶのは、風
自由なものたち
「鳥と、さかなと、鯨は
同じ世界で生きているんだよ」
広すぎるくらいの世界で…