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止むはずの雨

止まない雨はないと言う
たしかに雲はいつかは流れて行ってしまうし
雨の後にはただ青空がある
けれども雨は命を奪う
あふれた水は簡単に人を殺す
あっという間に

止まない雨はないと言う
いつか幸せが来るのだと
そのいつかが来る日なんて
誰にもわからないのに
長い長い雨の中にいるときは
それが終わる日のことを
考えることなんてできやしない
それは彼の人にとってはたしかに
永遠なのだ

止まない雨はないと言う
いつか幸せが来るのだと
それまで耐えればいいのだと
耐えきれない雨があることを
私たちは嵐が来るたびに思い知らされているのに
嵐は恐ろしい
すべて巻き込んで壊していってしまう
願うことしかできやしない
青空を信じて待つことしか

止まない雨はないさ
けれど止むまで耐えては壊れてしまう
雨上がりの空が見たくても
どんなに明日を信じていても

雨の中
きっとを繰り返した彼の人を
誰か知りませんか

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