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おヒョイと暮らせば、はち(完)
8、どんな結果になるのか、私は見てみたくなったのだ
おヒョイさんは年明け、亜実さんの元へとお返しした。
三回忌に本人不在では格好もつかないだろうし。
それが、その場に集まる方たちとおヒョイさんの最後の時間になるだろうし。
この体質で苦しい人生だったのは事実だけど、やっとこの年齢になって、「普通の人」に固執する気持ちも薄れて来た。
私のこの気持ちは、———差別だと思う。偏見でもある。
おヒョイと暮らせば、ろく
6、おヒョイさんの起こしたバタフライ効果が
通大寺でプロジェクトの話を聞いておヒョイさんに出会い、一緒に暮らし始めて一ヶ月が過ぎたくらいの頃だった。
東北はすっかりと冬になっていて、師も走るような季節だった。
私はすっかりとおヒョイさんとの暮らしにも慣れていた。
常に誰か知らない人や生き物たちとの共同生活で、だいたいが生きている人間の数より亡くなった人たちの数が多いことがほとんど
おヒョイと暮らせば、ご
5、私はそれを実験してみたくなったのだ
おヒョイさんの息子である藤村亜実さんから連絡が来たのは、いつだったかもうすっかりと忘れました。
とにかく、宮城の晩秋は寒くて、一瞬で冬になってしまいます。
もう冬の入り口。
そんな時期だったかと思う。
亜実さんからの連絡では、やっぱりプロジェクトにどうしても参加してほしいと、高村さん無しではこのプロジェクトは難しいと嬉しい言葉をいただいた。
おヒョイと暮らせば、に
2、蝶の羽ばたき程度の作用でさえ
少し過去の私の話をしよう。
「幽霊なんていない。死んだらみんな無になる」
祖父が亡くなった時に「死ぬとどうなるのか」と父親に尋ねると、そう返事があった。
でも父親はとても神仏に愛されている人だった。いつも「いいもの」たちが側にいて、父親は守られ愛されていた。
私はガラの悪い子供だったので、「大人って分かってるようで何も分かってねーな」と思いながら、
おヒョイと暮らせば、いち
1、バタフライ効果とは
え、おヒョイさん?
そんな気持ちで開いた記事で、あなたは今後ずっと困惑することになる。
突然現れた高村英(タカムラエイ)と言う人物を不審に思うのは仕方がない。
仕方ない、人生とはそういうものだ。
大体にして、人生とは不審なことが多すぎる。摩訶不思議な世の中を闊歩するには、人は生きているうちにその不思議の答えを出す前に終わってしまうし、そのことだけを考えて生き