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Web制作やシステム開発のトラブルで上手に謝罪できるようになるにはどうしたら良いか

Web制作やシステム開発をしていると、仕様の認識違い、不具合などで、顧客からのクレームが入ることがあります。
私はWeb制作業界で20年近く働いているのですが、謝り方が上手くない人が多いように感じます。

自分たちの瑕疵ではないのに謝ってしまい、なし崩しに料金外の修正をさせられる。
明らかな不具合なのに、経緯の説明から入ってしまい、顧客には言い訳のように聞こえ、余計に怒らせてしまう。

営業マンの方やサービス業の方であれば、クレーム処理の仕方も上手なのかもしれませんが、制作の人間は職人のようなところもあり、クレームに対する対応が下手で不器用なところがあります。
提案やプレゼンは得意でも、顧客の怒りに対しての対処がうまく出来ない方が多いです。

逃げてしまったり、上司にお尻を拭いてもらったり…
あれだけ仕事ができる人なのに、いざ顧客に怒られると理屈をこねて言い訳して余計に怒らせてしまう。
そういうシーンを何度も見てきました。

私も、その謝罪下手の中の一人です。
具体的な経験談は後述しますが、適切に謝ることができず、けっこうやらかしてきました。

しかし、15年近く一人で会社経営と制作現場を任されて、責任者として部下のミスを謝罪する機会が多くなり、謝罪慣れというか、どう謝罪したら良いかという事が分かってきました。

Web制作やシステム開発は、複雑な仕様のやり取りの中で、制作会社と顧客の認識に齟齬が発生することがよくあります。
その中で謝るべきところは謝り、謝る必要がないところは見極めて対応する、というの事が非常に重要となってきます。

制作進行の中で、悪い所は悪いときちんと認めて謝罪できる、ということは円滑なコミュニケーションを取ることに繋がります。

良い提案をする、良い成果物を納品することも大切ですが、きちんと信頼してもらえるコミュニケーションを取ることで、継続した契約に結び付くのです。

そもそも余計なトラブルを招かなければよい話ですが、クレームが入ってしまった場合の謝罪の対応ポイントを、私の経験からまとめてみました。
Web制作やシステム開発に携わる方の少しでもお役に立てたらと思います。

この記事では、相手が多少なりとも怒ってクレームや指摘の連絡をしてきている、という前提でお話しします。
ただ、相手がさほど怒っていない、ちょっとした修正漏れだから謝らなくてよいというわけではありません。


言い訳や説明から入らない

特にエンジニアに多いのですが、不具合を指摘されると、動揺や苛立ちから、すぐに経緯を説明しようとする方がいます。
しかし、これは言い訳にしか聞こえませんのでやめましょう。

明らかなミスであれば「申し訳ありません。すぐに修正します」で良いのです。経緯の説明は修正が終わってから、きちんと文書に起こして報告するべきです。

システム開発だと、指摘の内容が不具合ではなく、仕様の認識違いという事もよくあります。でも明らかなミスの指摘に対しては先に謝る、これが大切です。(バグなのか仕様なのかすぐに判断付かない場合のことは後述します)

実際に手を動かして制作をしていると、自分のミスを認めなくない時もあります。チェックする人がいなかった、ディレクターの指示が悪い、など外部の人や環境のせいにしたくなります。
でもミスはミスなので、そのことについては認めましょう。
当たり前のことですが、実際に手を動かしている人は、意外とできないものなのです。(私自身もそうです)

ミスの内容によっては、言い訳をすることで、さらに状況を悪化させることもあります。

間違ったら「ごめんなさい」ですぐに修正すればいいじゃないですか。
これがまず基本姿勢です。

最初に相手の言い分をすべて聞く

明らかな不具合でない場合、不具合なのか判断はすぐに付かないような場合、まずは相手の言い分をすべて聞くことから始めます。
それは違うと思ったことがあったとしても、話を被せたりせず、相手の言い分をしっかりと聞いて、どういう認識で怒っているのかヒアリングをします。
相手が主張しているところに、自分の主張を被せたりすることは、怒りを助長することになりますので、まずは一旦話を聞きましょう。

最後まで主張が出来れば、たいていの人は少しクールダウンします。
ですので、きちんと相手の話を返事をしながらちゃんと聞く。
まずはこれです。

怒りが激しい人には、いくら弁明や経緯の説明をしても、半分くらいしか頭に入っていきません。感情的になっているので、全部言い訳にしか聞こえないくらいだと思います。

相手の主張をすべて聞き、もし訂正する点があれば、冷静にゆっくりと説明をします。間違っても早口で、相手のテンションに合わせて話をしてはいけません。冷静に冷静に。

この時点で、明確にこちらの瑕疵と判断したらすぐに謝罪をします。
「お話は理解できました、弊社のミスでご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」と。

しかし相手の主張するところが、完全に自社の瑕疵だと判断できない場合、この時点ではまだ謝罪するのはやめた方が良いです。

<言い訳したい気持ちを抑える方法>

怒りを真っ向から受けると、少なからず人は動揺して焦る気持ちが出て、自分の言い分や弁明を先にしたくなるものです。
しかしビジネスシーンでは、心を一旦無にしましょう。
シャワーを浴びるように、相手の言葉の粒をすべて身体で受け入れます。

何もいきなり殴られるわけではありません。
冷製に落ち着いて相手の話を聞きましょう。
バグやミスに対して、猛烈に怒っている場合、実は怒りの原因はその前後のやり取りにもあることが多いです。
たとえば、度重なるミスであったり、度々対応が遅かったりと。

なぜ相手がそんなに怒っているのかを、きちんと把握する気持ちで真摯に話を聞く姿勢を持つと、相手が怒る気持ちも分かってくるものです。

簡単に謝ってはいけない場合

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