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契約は締結したから安心ではない!Web制作の契約で、現場のWebディレクターや営業マンが抑えるべきポイント。

Web制作の仕事を受注する際、発注書や契約書はきちんと締結しないといけない。

そんなことは当たり前のことですが、まだまだ実際の制作現場では、発注書のテンプレートを持っていない、契約書を持っていないような小さな代理店や制作会社は多々あるのが現実です。

誰も契約のことを言い出さないと、お互いになあなあで口約束で制作を進めるなんていうことはざらにあるようです。
それでうまく納品できて支払いもきちんとされればよいのですが、その後支払いや納品などを巡って、なんやかんやバトルをしているのを見聞きすることがよくあります。

口約束だからそういうことになるんだ!
と言いたいところですが、これは契約をしっかり結んでいても起こることなのです。

きちんと契約を結んだにも関わらず、制作物の品質や担当者の対応など感情的な部分でも難癖をつけて、「その契約は無効だ!」などということを平然と言い放つような方もいます。

何かあった時は裁判だ!弁護士に相談するぞ!なんていうことを口走る経営者もいますが、裁判をやるのにお金と時間がかかること、それに見合ったリターンが来ないことくらいわかっている方も多いと思います。

案件の規模にもよりますが、実際に私の会社でも未払い案件について、弁護士を通じてやり取りをするような事態が過去にあり、ただでさえ少人数で忙しいのに、こんなことにかなり時間を取られるのか・・と辟易した覚えがあります。

もちろん、正当な理由がこちらにもあり、未払いなんていうものにはきちんと向き合わないといけないというのは分かります。

ただ、是非論だけで戦うというのはビジネスの場においては必ずしも正しいとは限りません。ビジネスはあくまでも利益を追求しなければならないので、時には泣く泣く損切りを選択することだってあるのです。

では、契約の締結ってなんなんだ?発注書って何?
と考えた時、きちんと確認すべきことを確認することが一番大切だと感じます。

契約書があったからと言って、泣き寝入りするような事態になるというのは、契約内容においても、実際の制作進行についても、どこか脇が甘かったのかもしれません。

契約書にお互いに押印した、発注書を受け取ったというだけでは、時には予測しないようなトラブルに巻き込まれることもあります。

ということでこの記事では、私の経験から制作会社にとって契約を締結するうえで必ずチェックし、交渉すべきポイントをまとめてみました。
私が現場レベルで感じたポイントです。

弁護士の先生に聞けば、もっと全部ちゃんと確認しろよ!と言われそうですが、現場のディレクターや営業マンレベルで分かりやすいチェックポイントをまとめた次第です。

契約書はただ渡すだけでなく、ポイントを絞って確認と交渉をするもの。

契約書というのは、「お互いに目を通しておきましょうね」というレベルの確認ではなく、制作するうえで制作会社にとって重要な点を、きちんと確認することが大切です。

後になって「ちゃんと読んでいなかった」「そういう理解をしていなかった」などと言わせないためにきちんと確認しておくべきです。

ただ、契約書は企業によってはちょっと難しいことが書いてあったり、かなり細かいと感じる場合も多いです。

つい、契約とか小難しいことはよく分からないので、自社の契約書もしくは相手方が提示してきた契約書に署名、捺印をして契約をしてしまう、なんていうこともあるようで、形だけだとは思わず十分に内容を確認しましょう。

よく分からずに契約してしまい、結果的に無知で立場の弱い制作会社が泣きを見ることになってしまうこともあります。

忙しいからざっと目を通したがために、さらに無意味に忙しくなることもあるので、契約と発注の条件には時間を割いてでもチェックをしたいものです。

大手企業ほど契約内容は、えげつないほど自社に有利になっている。

大手企業との取引きは健全で安全、コンプライアンスもあるから契約書なんて確認しなくても大丈夫だろう、と思ってしまう方も多いのではないでしょうか。

しかし、誰もが知っている有名で大きな企業ほど、たくさんの契約を外部の会社と締結しているので、かなり自社に有利な契約書になっていることが多いです。

以前勤めていた制作会社で、大手企業との直接の取引があったのですが、契約内容をよく確認せずに契約していたようで、先方の新しい担当者のミスが原因での不具合なのに、すべて制作会社の責任にされ、ペナルティーとして請求の際に減額を要求されたことがありました。

あとになって、改めて弁護士の先生に確認してもらったところ、よくこんな内容に対して契約をしていたな、と呆れられたと、当時の会社の社長が話していた記憶があります。

よく契約内容を確認しないと、こういうことは往々にしてあるのです。

幸い私はそのような経験もあり、自分の会社では、事前に契約内容をよく確認して、自社に少し不利になりそうな内容や、契約上で約束してしまうと、あとで厳しいな、という部分にしては事前に交渉するようにしています。

契約の内容は先方が契約書を持っていても、内容の改変を交渉すべきです。

実際に、大手企業だから内容の交渉は認めない、ということはなく、きちんと交渉して事情などを話せば、たいていの条件はお互い譲歩して取り決めることができます。

建設的にお互いの希望する条件を協議できない企業だと、その後の制作進行や仕様面で無理難題を飲まされるような事態にもなりかねません。

まずは契約書が形式のためのものと考えず、きちんと内容を理解して、制作を進めるうえで自社に不利になる部分を想像しなければなりません。

契約書はすべてに目を通すべきですが、これより制作会社側で自分たちが不利にならないよう、チェックすべきポイントについて紹介していきます。

支払いサイトと振り込み手数料の負担

納品が完了した制作費が、月の何日締めで、いつの支払いになるのかです。
ビジネスとして基本中の基本です。

大手企業であれば、大体月末締めの翌月末の支払い(30日サイト)となります。

広告代理店の下請け業務の場合、代理店にエンドクライアントから入金があった後の支払いになることが多く、45日~60日サイト、私の知っている最長だと90日サイトになる場合もあります。
(60日より長い期間は下請法に違反となります)

現場のディレクターや営業の方だと、支払いサイトなんて、自分の給料の支払いとは関係ないので、あまり考えたこともない方も多いと思います。
でも、会社の経営にとってはこの支払いサイトは非常に重要なのです。

制作というのは人件費の持ち出し商売です。
先に制作者を動かして人件費(給料)を持ち出しで支払って、納品後に制作費用の回収となります。

制作期間が長ければ長いほど、人件費(給料)を払いながら、制作を進めることになりますので、制作費用の回収が長くなればなるほど、会社の持ち出し費用が大きくなっていくわけです。

極端な話、人件費を制作している間に支払い続ける内部留保がないと、制作をしながら給料が支払えなくなる、という事態だって考えられます。
倒産しちゃいますね・・

納品の定義について

支払いサイトにも関わってくるのですが、納品の定義というのも、きちんと認識を合わせておく必要があります。

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Web制作における値引き交渉のかわし方、制作費の未払いへの対処方法など、起業したばかりの方、フリーランスで独立した方などに、少しでも役に立てる情報を配信していきます。

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