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動き始めた時計の針。


2021年10月9日

2回目の古民家再生作業。
今日も海老津駅へと岡村さんのお迎えに。

古民家につくや、看板犬のタロウのそばで
岡村さんは一服をし、打ち合わせからはじまる。

10年ほどおばあちゃんのそばにずっといた
保護犬のタロウ。
みんなともゆっくり仲良くなってゆく。

今回は、
台所、リビングであっただろうおへや、
と、リビングから廊下を挟んだおへや。


広々とした昔ながらの台所。


台所では、こびりついた油や錆を
丁寧にゆっくりゆっくりとってゆきます。
その裏側では、
大量の家具や物たちの整理整頓とお掃除。

水色のタイルも蛇口もあたたかく。
安心を感じる流し台である。


古民家のおばあちゃんが亡くなり3年。
全部そのまんま、
暮らしがそのまんまカタチとなり残っている。

それをまず、ひとつひとつ、変えてゆく、
変わらないものもあるんだけれど、
岡村さんの図面から生まれるおへやのカタチへと
パズルをはめてゆくように変化させてゆく。

おおきなおおきな食器棚たち。
たくさんのお皿たちが。
カーテンレールをはずしてゆく岡村さん。


家具を動かしては、お掃除。
家具の引き出しの中も全部だして、整理整頓。

でてくる、でてくる。年代物。
中には、おじいちゃんが生きてたころに作られていたであろうハブ酒のような瓶もでてくる。

色合いもデザインも懐かしさが溢れてゆく。
みんな大好きカゴメのトマトケチャップ。
長く長く愛されているカゴメ。

整理整頓するうちに、
ご夫婦の暮らしの蓋をあけて
覗くように感じる。

RAINBOWのおばあちゃんは、
キウイを栽培していたらしいのだが、
(本業は踊りの先生なんだとか)
おじいちゃんはと言うと学校の先生。
先生でありながらも、
自然の手仕事も好きだったみたく
椎茸栽培に加え、
お酒や自然治癒に繋がるものも
作られていたそう。

古民家にお庭を作りたくて夜中、
息子の大家さんが寝ている間に移築をしたのも
おじいちゃんの発想。
門から玄関までの距離ができて、
たくさんの樹たちが。

四季折々にお花も芽吹いてゆく。

好きもあるんだろうけれど、時代もあるのかな。
季節の手仕事に寄り添うような暮らしづくり。

みんな、ひとりひとりが
心地よさだったり、環境だったり、
「暮らし」とゆうものを
大切にしていたんだろうな。

まるでお庭がちいさな里山になるかのように
想い描きながら。


台所がだんだんときれいになり、
使えるようになってきたところで、
おひるごはんをつくるぞぅ!!てなわけで、
今回は、あったかほかほか豚汁。

お掃除などを続けながらも、
裏側ではお野菜を切ったり味噌をといたり。

差し入れにおにぎりを持ってきてくださったり。

そうしてこうして、ひと休みもかねた
おひるごはん。
みんなでたべる おひるごはん。

不用な棚などをだしたり、移動したり。
台所、リビングを午前中で一旦、中断。


少しスッキリとしたリビング。




お昼ごはんを食べて午後からは、
リビングから廊下をはさんだおへやにも
移動する。

陶芸の工房になる予定だ。


おばあちゃんが休んでいた寝床のような
おへやだったのかな?
ちいさなちいさな畳のおへや。

タンスなどはそのままの配置にしたまま、
まず、床を掃いて、
おへやにあった小さな押し入れのような小部屋。
その小部屋の扉のネジをはずして扉をなくす。

ドライバーを使ってひとつひとつネジをゆるめてゆく。


「このおへやに陶芸のものを運ぼう。」
と、おおきな和室に置いていた陶芸の道具や
作陶品などを運んでゆく。

われないようにおとさないように
ゆっくりゆっくり運んだ作陶品たち。


そうしてこうして、まだ未完成なるおへやだけど
陶芸の道具たちをお引越ししただけで
陶芸工房へと変化しはじめたのである。

道具たちが、自分たちのおへやだねって
話してるような声がしてくるように。

お引越し後の日々のなか。
こつこつ作陶する敬子さん。

午後15時すぎ。
ここから今回は農園の方に向かう。

(農園での物語は自然農園の方に書くので
一緒に見てもらえると嬉しいです。)


秋晴れが続く毎日だった。



秋の夕暮れ。

お掃除と整理整頓により、
おうちの中へと新しい風が吹いた。

ひとりひとり なにを想い なにを感じ
過ごしていたのだろう。

私は、命のようなものを感じながら
息を吹き返してゆく
その瞬間を感じていた。

止まっていた時計の針が、
再び動き始めたような。

と、同時に私たちの命も一緒に時を刻み、
はじまりのような、おわりのような
満ちゆく果てに
カウントダウンが
ゆっくり ゆっくり 進んでゆくような。



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