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本のタイトル、見比べまSHOW☆

人間は外見じゃないよと言うけれど、キレイな顔やスタイルのいい人にハッとすることがあります。

同じように、本もタイトルだけで惹かれるときがある。
吸引力というか、運命の出会いのように自分の好奇心にピタッとハマる瞬間が。

今日はマイ本棚から、そんな出会いで買ってしまった“魅惑のタイトル本”を見ていこうと思います。


▼魅惑のタイトル-1 封印と謎

『封印の昭和史』 
『封印作品の謎』
『逆説の日本史 封印された「倭」の謎』
『秘仏』


謎とか封印とか、これほど魅力的な言葉があるでしょうか。
隠されたモノは知りたいのです。見てはいけない感がプンプンして、のぞき見したくなるのです。特に「封印」というキーワードは、作為の匂いがして放っておけません。
歴史検証ものであれば尚さら。

◉封印の昭和史 小室直樹・渡部昇一著徳間書店
◉封印作品の謎 安藤健二著 太田出版
◉逆説の日本史 封印された「倭」の謎 
井沢元彦著 小学館
◉秘仏 久野健著 学生社



▼魅惑のタイトル-2 インパクト勝利

『さあ、気ちがいになりなさい』


これこそタイトル王にふさわしいインパクト。ミステリ、SF好きの方ならよくご存知の、フレドリック・ブラウン作でしかも翻訳は星新一。あまりにおもしろいSF短篇集なので、以前の記事でも紹介しました。
ちょっと不思議なお話し系の、誰もがラクに読めるSF短篇集です。とは言え毒は一級品

◉さあ、気ちがいになりなさい
フレドリック・ブラウン著 星新一訳 早川書房



▼魅惑のタイトル-3 反社とオシャレの融合

『うまい犯罪、しゃれた殺人』
『人でなしの恋』


犯罪はうまくてもいけないし、殺人がしゃれてるなんてとんでもない。人でなしが恋するなんて恐ろしいし関わりたくない。

だからこそ惹かれるんです、その背徳感に。思えば文学というのは、とても非常識なものなのです。


◉うまい犯罪、しゃれた殺人
ヘンリイ・スレッサー著 
高橋泰邦・他訳 早川書房
◉人でなしの恋
江戸川乱歩著 創元推理文庫



▼魅惑のタイトル-4 イケてるSF3連発

『たったひとつの冴えたやりかた』
『愛はさだめ、さだめは死』
『世界の中心で愛を叫んだけもの』


タイトルひと目惚れの小説ジャンルがあるとしたら、間違いなく海外SF小説だと思います。翻訳の妙もあるでしょうが、それにしてもおもしろいのが多すぎる。

ここに上げた3点は、内容よりもタイトルが一人歩きしてしまっている感すら否めません。
特に『世界の中心で愛を叫んだけもの』はエヴァや通称セカチューのタイトルを想起させます。でもこちらが本家本元

愛とは言え、どれも恋愛モノではありません。

『たったひとつの冴えたやりかた』は、次回、紹介記事を上げます*

◉たったひとつの冴えたやりかた
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著 
浅倉久志訳 早川書房
◉愛はさだめ、さだめは死
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著 
伊藤典夫・浅倉久志訳 早川書房
◉世界の中心で愛を叫んだけもの
浅倉久志・伊藤典夫訳 早川書房


SF小説にはこれ以外にも列挙したい魅惑タイトルがいっぱい。
サムネの写真に掲載している本を含めてオマケでタイトルだけ掲載しましょう。
内容も素晴らしい!

『流れよわが涙、と警官は言った』
 フィリップ・K・ディック 友枝康子訳 早川書房
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
 フィリップ・K・ディック  浅倉久志訳 早川書房
『月は無慈悲な夜の女王』
 ロバート・A・ハインライン 矢野徹訳 早川書房
『10月はたそがれの国』(短編集総題)
 レイ・ブラッドベリ著 宇野利泰訳 東京創元社
『時の他に敵なし』
 マイクル・ビショップ著 大島豊訳 竹書房



▼魅惑のタイトル-5 逆説の魅力

『危険な童話』
『輝ける闇』


このパターンのタイトルはそれほど珍しくないかも。でも何だろうと思わせてしまう魅力はあるのです。
『危険な童話』には禁断の雰囲気がありますし、『輝ける闇』も反意語ならではのインパクトが大きいです。

◉危険な童話 阿刀田高著 新潮社
◉輝ける闇 開高健著 新潮文庫



▼魅惑のタイトル-6 その「状態」が気になる

『さむけ』
『死んだふり』


ミステリから2作。「さむけ」はハードボイルド、「死んだふり」はブラックユーモア満載の飄々ひょうひょうとした犯罪小説。タイプは全然違うけれど、タイトルの「状態」はとても気になります。「死んだふり」の方が素っ頓狂な感じがして、私としては好みですけどね。


◉さむけ ロス・マクドナルド著 早川書房
◉死んだふり ダン・ゴードン著 新潮文庫



▼番外編 似すぎで紛らわしい

『地図のない街』
『地図にない町』


この2作、内容は全然違うのにタイトルが似すぎていていまだによく間違えます。

『地図のない街』は、東京のドヤを舞台にした酒と男のハードボイルド小説。
『地図にない町』は、あるはずもないメイコン・ハイツ駅に迷い込むタイムパラドックスもの。副題「ディック幻想短編集」どおり、ディックとしては珍しい味わいが楽しめる作品です。

◉地図のない街 風間一輝著 早川書房
◉地図にない町 フィリップ・K・ディック著 早川書房



▼番外編 この作品、問答無用

『怪談 人間時計』


これはカルトで異色な複刻漫画。タイトルは江戸川乱歩『人間椅子』を彷彿させます。もう一篇収録されているのは『怪談 猫の喪服』。それぞれの主人公名は「声タダシ」と「指地図夫ゆびちずお」。どれも奇妙なネーミングです。作品の奇抜さも凄まじいですけどね。


怪談 人間時計 
徳南晴一郎著 太田出版



他にも
『煙か土か食い物』『暗闇の中で子供』(共に舞城王太郎著 講談社)など、タイトルびいきの本がまだまだたくさん。

夢野久作なんか平凡なタイトルを見つける方が難しい。そのうち夢野久作オンリーで記事を上げようと思います。

今回、ラノベの長文タイトルは同傾向のものが多いためエントリーしませんでした。数が増えると新鮮味がなくなるのは残念です。

やっぱり本はタイトルだけでもオモシロいですね。