大政奉還の舞台になった二条城でハプニング。 〜京都帰省便り
新年明けに、年末12月17日の振り返りから始める無礼をお許し願いたい。
さて、この日の京都は寒かった。夜から雪が降るという予報を信じ、一点集中、二条城に行ってみる。外観だけは飽きるほど見ているせいか、あまりウキウキしてこない。
だが東大手門をくぐった瞬間、私のちんけな心持ちが吹っ飛んだ。
●豪華絢爛な唐門に見惚れる
大手門をくぐって広々とした砂利道を折れると、二の丸御殿の正門、唐門に目を奪われた。極彩色の彫刻、黄金色の迫力だ。
唐門は、細工のひとつひとつが威圧的。徳川の城なのに、天皇家の菊の御紋だ。2013年の修復工事の際、この菊紋の下に徳川の葵紋が隠されていたのが見つかった。
さて二の丸御殿のオープンルーム、もとい城内見学は大トリに回し、ぐるっと庭園から攻めて行く。
●枯れた季節でも美しい二の丸庭園の池
二の丸庭園の中心、池の風情をしばし鑑賞。水面にわずかな陽光が反射して、重厚な陰影を作り出している。歴史の深みと相まって懐深い味わいだ。角度を変えると池の表情が変わる。寡黙で雄々しい構えに、身も心も包み込まれる思いがした。
●本丸庭園・天守閣跡でハプニング
二の丸庭園から東橋を渡り、本丸庭園に進む。
私は先日の平安神宮、そして今日の二条城見学で、名所巡りnoterさんの力量を思い知った。私みたいな付け焼き刃はダメだ。感動と興奮で我を忘れ、うまく写真が撮れずに、ただモタモタ。
今回の京都観光のきっかけになったのは、「京都へ行こう❣」を連載中のひばりんさんだ。写真がきれいなだけでなく、魅力ショットをピシッと押さえた緩急のある構成。きらきらな京都案内がいつもステキだ。
自らのふがいなさを反省していると、私の前にさっそうと撮影しまくる女性が現れた。速歩ですすっと辺りをチェック、そして写真パシャリと迷いがない。よもやひばりんさんではあるまいか?
天守閣跡の急な石段を軽やかに上り始た彼女を追うように、私もハイペースで上っていった。一瞬、ちらりと彼女と目が合う。
頂上に着き、ぐるっと見渡せる京都市内の景観にひゃーっとなる。
ひばりんさん(かもしれない彼女)は、瞬時に数カ所のポジションで魔法のようにシャッターを切っていた。景色よりも何よりも、その淀みない行動に舌を巻く。
私が撮影している間に、彼女はとっくに姿を消していた。なんという早業、実に3倍速ムーブでフェイドアウトだ。
●清流園で加茂七石を見る
再び自分のゆっくりペースに戻った私は、天守閣跡から和風庭園と芝生の洋風庭園で作庭された清流園へ向かった。
清流園は、京都の豪商角倉了以の屋敷跡から建築部材や庭石、庭木などを譲り受けて作られた。二の丸御殿とは違う趣に、飽きることのない散歩が楽しめる。
●清流園の香雲亭で撮影現場に遭遇
清流園の池泉奥に佇む香雲亭では、何やら撮影が行われていた。ライトの数から映画かドラマの撮影のようだ。通常、香雲亭は非公開。期間限定で予約分のみ京懐石などが楽しめるという。
●松と虎と鴬張り廊下の、二の丸御殿
さていよいよ大トリ、国宝の二の丸御殿だが、ここはいっさい撮影禁止。せめてパンフレットだけでも掲載しておこう。拡大して見ていただけると嬉しい。
各部屋の狩野派障壁画は圧巻だった。最初は回廊を進みながら各部屋の説明板をじっくり読む。襖の松や虎と豹の意味などを理解した後、再度、内覧を繰り返す。2周目にじっくり味わえる、私独自の回遊法だ。
大政奉還が表明された大広間には、当時の様子を彷彿させる実物大の人形が設置されていた。間近で見るのはかなりダイナミックである。
●「雪ノ下」本店で味わうパンケーキ
長居しすぎた二条城を後にした頃、すっかり身体が冷えていた。歩いていると、パンケーキとかき氷が有名なカフェ「雪ノ下」発見。銀座にあるカフェだが、京都が本店。ここでトッピングなしのシンプルなパンケーキを頼んだ。焼き上がるまで30分待たされるのはお約束。
この記事内で市バス珍事も綴るはずだったが、長くなるので番外編に先送りする。
次回「雪の嵐山編」に続く。